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7か国の学生数や納付金比較…文科省「諸外国の教育統計」

 文部科学省は2025年5月26日、2025年版「諸外国の教育統計」を公表した。日本・アメリカ・イギリス・フランス・ドイツ・中国・韓国の7か国について、私立学校の割合、高等教育在学者の専攻分野別構成、学生納付金といった教育状況を取りまとめている。

教育行政 文部科学省
私立学校の割合(児童・生徒・学生数)就学前教育・初等中等教育
  • 私立学校の割合(児童・生徒・学生数)就学前教育・初等中等教育
  • 私立学校の割合(児童・生徒・学生数)高等教育
  • 初等中等教育の学級編成基準
  • 高等教育在学者の専攻分野別構成
  • 大学の学生納付金<日本>
  • 大学の学生納付金<アメリカ>
  • 大学の学生納付金<アメリカ個別大学>
  • 大学の学生納付金<イギリス>

 文部科学省は2025年5月26日、2025年版「諸外国の教育統計」を公表した。日本・アメリカ・イギリス・フランス・ドイツ・中国・韓国の7か国について、私立学校の割合、高等教育在学者の専攻分野別構成、学生納付金といった教育状況を取りまとめている。

 「諸外国の教育統計」は、「教育指標の国際比較」の後継資料として、日本・アメリカ・イギリス・フランス・ドイツ・中国・韓国の教育状況を統計データによって示したもの。2014年より公開している。公表資料の内、今回ピックアップした項目の各国データは、日本が2024年度、韓国が2023年度、アメリカが2021年度、そのほかの国では2022年度のものを使用。また、項目によってはデータを公開していない国もある。

 2025年版の資料によると、児童・生徒・学生数からみる私立学校の割合は、幼稚園などの就学前教育では「日本」がもっとも多く79.4%、ついで「韓国」69.9%、「ドイツ」48.4%、「中国」46.0%、「フランス」13.3%。小学校から高校までの初等中等教育では、「フランス」18.6%、「韓国」14.8%、「日本」11.1%、「中国」10.0%、「アメリカ」10.0%、「ドイツ」8.4%の順。「イギリス」は、就学前教育と初等中等教育あわせて5.7%となっている。

 大学や大学院、短期大学などの高等教育における私立学校の学生数の割合は、「イギリス」100.0%、「韓国」79.4%、「日本」74.5%、「アメリカ」27.4%、「中国」21.6%、「ドイツ」12.5%。いずれも、国の方針や制度によって、私立学校に通う児童・生徒・学生数には大きな差が出ている。なお、イギリスの大学は独立の法人であり、政府からの拠出が財源の50%以上、もしくは教職員給与が政府によって支払われている場合は公営私立とするという定義のもと、国の分類も100%公営私立となっている。フランスの「私」大学は、大学型教育を提供する私立高等教育機関を指し、学位授与権を持たない。そのため、在籍生徒数は記載されているものの、私立大学として割合は算出していない。

 初等中等教育段階の各国の学級編制基準をみると、単式学級の標準人数は、日本が小学校35人、中学・高校40人。アメリカは州によって定める上限人数が異なり、モンタナ州の場合は、就学前教育~第2学年が20人、第3~第4学年が28人、第5~第12学年が30人。おおむね小学校低学年までは20人前後、中高段階で30人前後となっている。中国は小学校が40~45人、中等学校が45~50人。イギリスは初等学校1・2学年が30人、以降は上限人数の基準なし。フランスと韓国は小学校・中等学校(中高)ともに基準を設けておらず、フランスでは各学校に、韓国では広域市・道教育庁の長である教育監に権限が委ねられている。

 大学・短大などの高等教育在学者の専攻分野別構成について、各国の上位3専攻をみると、日本は法経等31.1%、人文・芸術16.1%、工学15.1%。イギリスは法経等32.9%、理学19.7%、医・歯・薬・保健15.7%。フランスは人文・芸術35.2%、法経等30.1%、理・工・農学24.8%。ドイツは法経等32.0%、理学19.0%、人文・芸術と工学が17.4%。中国は工学35.4%、法経等26.3%、人文・芸術13.2%。韓国は工学28.8%、法経等24.0%、人文・芸術18.3%。

 大学の学生納付金の平均額をみると、日本の初年度学生納付金額(大学学部)は、国立大学が81万7,800円、公立大学が92万4,901円、私立大学が136万5,281円(私大のみ2023年度データ)。

 アメリカ(4年制大学)は、州立大学が9,596ドル(約102万4,000円)、私立大学が3万4,051ドル(約363万5,000円)。州立・私立ともに入学料はない。また州立大学では、州内学生と州外学生とでは納付額が異なり、州外学生は掲載金額より高くなる。イギリスの公営私立大学は、9,250ポンド(約164万円)。フランスの国立大学は170ユーロ(2万5,000円)。いずれも入学料はない。

 参考として、アメリカの個別大学の2021年学生納付金額は、ニューヨーク州立大学(オルバニー校)1万408ドル(約111万1,000円)。私立では、ハーバード大学5万5,587ドル(約593万4,000円)、マサチューセッツ工科大学5万5,878ドル(約596万5,000円)、スタンフォード大学5万6,169ドル(約599万6,000円)など。

 統計資料ではこのほか、学校系統図と学校統計、大学院生の比率や学位取得者の専攻分野別構成、奨学金制度など、さまざまな角度から各国の教育状況を示している。「諸外国の教育統計」の全文は、文部科学省のWebサイトで見ることができる。

《畑山望》

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