保育・子育ての社会課題解決に取り組むユニファは、全国の保育士・幼稚園教諭などを対象に実施した「保育士・幼稚園教諭のAI活用に関する実態調査 2026」の結果を公表した。保育関係者の3人に1人が書類作成などで業務に生成AIを利用していることがわかった。
調査は2026年3月6日、全国の保育士・幼稚園教諭・保育関係者1,209名を対象にインターネットで実施した。アンケートに回答した保育関係者のうち33.4%にあたる404名が、生成AIの利用経験があると回答した。総務省が2025年7月に発表した「令和7年版情報通信白書」によると、個人の生成AIサービス利用経験は全体の27%、一般企業における生成AIの活用率は17.3%であり、保育現場におけるAIの業務活用率は、平均を約6ポイント上回る結果となった。
生成AIの利用経験者に現在の活用用途を尋ねたところ、「書類作成・文書・文章の下書き作成」が45.3%ともっとも多く、ついで「表現の言い換え・文章校正」が42.6%と、テキスト生成に関連する用途に集中していることがわかった。使用しているAIツールは、72.3%がChatGPTなどの汎用AIと回答しており、保育業務に特化したICTサービスのAI機能の認知度は低いようすがうかがえる。
保育現場でAIに期待することについては、「書類作成の時間短縮」が49.9%と最多だったほか、「園児ごとの撮影枚数カウント機能」(28.5%)、「ボケブレなど写真チェック機能」(23.2%)、「下着、裸などのNG写真チェック機能」(22.7%)といった写真関連業務への需要が高いことが判明した。さらに、「子供の変化や傾向に気付けること」(22.4%)や、「保育の判断に迷ったときの相談相手」(21.2%)など、保育の補佐的な機能にも期待が寄せられている。
将来、AIに期待する役割としては、「書類・作業支援」が43.2%でトップ、ついで「保育の意思決定をサポートする役割」が24.3%となった。また、一部業務への導入も含め、AIの導入意向は全体の76.2%にのぼった。
調査の背景には、2026年4月から本格的に開始する「こども誰でも通園制度」や、保育士不足の問題がある。東京都福祉保健局が2023年3月に発表した「令和4年度(2022年度)東京都保育士実態調査報告書」では、退職を検討する保育士の5割以上が「仕事量の多さ」を理由にあげており、連絡帳や書類作成などの事務作業が大きな負担となっている。保育現場でのICTやAIの活用は、業務負荷の軽減だけでなく、保育の質の向上や保育者の定着にも寄与すると期待されている。
一方で、調査からは課題も浮き彫りになった。AI利用者の7割以上が汎用AIを利用しているが、文部科学省が2023年7月に公表したガイドラインでは、生成AIの利用にあたり、情報の真偽を確かめることや、個人情報・プライバシー保護の重要性が指摘されている。特に保育日誌や連絡帳には個人情報が多く含まれるため、入力情報がAIの学習に使用されない、セキュリティが担保されたサービスの選定が重要となる。
ユニファでは、保育現場が安全にAIを利用できるよう独自の「AIポリシー」を策定。「子供まんなかの原則」「プライバシー保護の原則」など7つの原則を定め、関連法規を順守し、入力データが外部のAI学習に利用されない安全なシステム環境を提供しているという。
同社が提供する保育総合ICTサービス「ルクミー」の導入園を対象に2025年11月に行った調査では、回答者の50.8%がルクミーの保育AI機能を利用しており、保育専門ICTのAI機能利用率が11.1%にとどまった今回の全国調査との間に大きな差がみられた。ルクミー導入園では、「顔認識機能」や「ばらつきチェック」などの写真関連機能がAI活用を後押ししており、全国の保育現場が期待する機能がすでに日常的に使われている実態が明らかになった。
ルクミーでは、2023年6月より保育特化型AI機能「たよれるくん」を実装。2025年10月には、AIが指定期間の子供の成長を要約したり、印象的な出来事を可視化したりする「すくすくレポート」の提供を開始している。保育者の記録を探す作業負担を軽減し、子供ひとりひとりの個性を見つけやすくすることで、保育者同士の対話や保育の振り返り、保育計画や要録の作成などに生かすことができるとしている。













