算数・数学、理科の平均正答率・スコアに大きな男女差がみられない一方、「得意」と考える割合は女子のほうが男子より少ないことが2025年7月31日、2025年度全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)の結果から明らかになった。理数の勉強が「得意でない」と考える児童生徒の男女差は、学力上位層で顕著にみられた。
2025年度全国学力テストは4月14日~17日、全国の国公私立の小学6年生と中学3年生を対象に国語、算数・数学、理科の教科調査と質問調査を実施した。
男女別に平均正答率を比較すると、小学校の国語が男子63.1%、女子70.9%、中学校の国語が男子52.0%、女子57.4%、小学校の算数が男子59.0%、女子57.3%、中学校の数学が男子49.1%、女子48.6%、小学校の理科が男子55.8%、女子58.8%。IRT(項目反応理論)に基づき算出した中学校の理科の平均IRTスコアは男子503、女子508。
国語と理科は、小・中学校とも女子が男子を上回り、算数・数学は小・中学校とも男子が女子を上回った。ただし、算数・数学と理科については、平均正答率・スコアに大きな男女差はみられなかった。
各教科の授業で学習したことが「将来、社会に出たときに役に立つ」という意識は、国語、算数・数学、理科のいずれの教科でも大きな男女差はなかった。
その一方で、算数・数学と理科については、平均正答率・スコアに男女差がみられなかったにも関わらず、「好き」「授業の内容がよくわかる」「得意」と回答する割合は、女子が男子を下回った。中でも、算数・数学の勉強を「得意」と回答した女子と男子の差は、小学校で21.7ポイント、中学校で19.8ポイントにもなった。
平均正答率・スコアが女子のほうが高い国語では、「好き」「授業の内容がよくわかる」「得意」と回答する割合は、女子が男子を上回った。
このほか、各教科の学力上位層でも、その教科が「得意でない」と考える児童生徒が一定数いることがわかった。特に算数・数学、理科の学力上位層で「得意でない」と考える女子は、男子の約2倍に達した。算数・数学、理科の上位層で「得意でない」と考える児童生徒は、「授業で学習したことを普段の生活の中で活用できていない」と回答した割合が大きかった。
文部科学省・国立教育政策研究所では「たとえば、子供たちが学習内容に疑問をもち、考えの理由を説明させるような授業や、習得した知識を普段の生活や現実の事象と関連づけられるような授業を行うことは、授業を『わかる』と感じさせ、さらに教科を『得意』と感じさせるうえでも重要と考えられる」と分析している。