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全国知事会、高校無償化の制度明確化など要請

 全国知事会は2025年12月11日、文部科学省の松本洋平大臣に要請書を手交した。高校無償化の具体的な制度設計の明確化、物価・人件費の上昇を踏まえた大学への基盤的経費の支援拡充、国立大学の授業料標準額の拙速な引上げを行わないことなどを求めている。

教育行政 文部科学省
松本大臣(右)に要請書を手交する大村委員長(愛知県知事)
  • 松本大臣(右)に要請書を手交する大村委員長(愛知県知事)

 全国知事会は2025年12月11日、文部科学省の松本洋平大臣に要請書「いわゆる高校無償化を契機とした高校・大学等の改革による人材育成の強化について」を手交した。高校無償化の具体的な制度設計の明確化、物価・人件費の上昇を踏まえた大学への基盤的経費の支援拡充、国立大学の授業料標準額の拙速な引上げを行わないことなどを求めている。

 全国知事会文教・スポーツ常任委員会の大村秀章委員長(愛知県知事)が文部科学省を訪れ、要請書を提出した。いわゆる高校無償化(高等学校等就学支援金制度の大幅拡充)にあたり、取り組んでほしい事項を具体的に盛り込んでいる。

 いわゆる高校無償化については、公立高校の特色化・魅力化への支援の拡充をはじめ、高校教育改革を通じた教育の質の向上を両輪として進め、さらに大学まで一貫した改革を進めることで、地方創生や産業活性化を担う人材育成の強化を図ることを求めている。

 具体的には、高校無償化の実施が、生徒の進路選択や国民生活に及ぼす影響の大きさを踏まえ、1日でも早く具体的な制度設計を明らかにするとともに、新制度開始後の検証と必要な見直しを行うよう提言。地方で負担が大きい遠距離通学への支援、高等学校DX加速化推進事業(DXハイスクール)のさらなる拡大など、高校へのハード、ソフト両面からの支援を要請した。

 高等教育段階では、近年の物価・人件費の上昇などを踏まえ、大学の基盤的経費に対する支援の拡充、大学学部の理系転換の推進、地域人材を育成する大学への重点支援、公立高専の新設への支援の充実などを求めた。

 また、国立大学の授業料標準額については、進学機会確保の観点に十分留意し、拙速な引上げを行わないよう要請。高等教育における修学支援新制度の拡充、地域の実情を踏まえた国立大学の定員管理の弾力的な運用など、高等教育へのアクセス確保に資する取組みについても盛り込んだ。

 各地域の人材育成のあり方などを議論する「地域構想推進プラットフォーム」の仕組みについては、国が主導して推進するよう提言。さらに要請事項の実現に向けた安定的・恒久的な財源については、「国全体として責任をもって確保すること」と明記した。

 松本大臣は、「今般の高校教育改革を進めるにあたり、各都道府県と連携してしっかりと検討を進めていきたい」と述べ、あらためて協力を依頼した。文部科学省では、公立高校や専門高校への支援の拡充などを通じた高校教育の振興のため、スピード感をもって具体化の検討を進めるとしている。

《奥山直美》

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