国立大学の授業料標準額の値上げについて、高校は賛否が拮抗し、大学は肯定的な意見が半数以上を占めることが2025年12月8日、河合塾と朝日新聞が共同で実施した「ひらく 日本の大学」2025年度調査の結果からわかった。
「ひらく 日本の大学」2025年度調査は、河合塾と朝日新聞が共同で実施したもの。大学向けには2025年7~9月にメールで調査票を配布し、612大学(大学院大学、通信制のみの大学を除く)から回答を得た。高校向けには2025年6~7月にWebアンケート形式で実施し、高等学校・中等教育学校791校から回答があった。
国立大学の授業料をめぐっては近年、国が定める標準額(53万5,800円)から、上限の1.2倍(64万2,960円)へ引き上げる方針を複数の大学が示しているほか、値上げ検討の動きもみられる。大学を取り巻く財政状況の厳しさが指摘される一方、学生や保護者の負担増も懸念されており、「ひらく 日本の大学」2025年度調査では国立大学の授業料標準額値上げについて高校・大学双方から意見を聴取。河合塾は今回、教育関係者のための情報サイト「Kei-Net Plus」に結果を掲載した。
高校に「国立大学の授業料標準額値上げ」について聞いた結果は、「賛成」10%、「低所得層の学生への奨学金や授業料減免とセットなら賛成」43%、「反対」43%。「低所得層への支援とセットなら賛成」を含めた賛成派と反対派が拮抗し、多くの高校が単なる値上げではなく、経済的に厳しい学生への配慮が不可欠と考えていることがわかる結果となった。
一方、大学に「国立大学の授業料標準額を引き上げるべき」という意見への賛否を尋ねたところ、「そう思う」29%、「どちらかと言えばそう思う」30%、「どちらかと言えばそう思わない」13%、「そう思わない」11%、「わからない」13%となり、値上げに肯定的な意見をもつ大学が約6割を占めた。値上げに否定的な意見は約2割にとどまり、全体では授業料標準額の値上げに前向きな見方をしている大学が多かった。
国公私立の大学区分別にみると、国立大学は賛成寄りが半数以上、反対寄りは3割未満にとどまった。公立大学は反対寄りが4割を超え、意見が拮抗しているものの反対派が賛成派を上回った。私立大学は国立・公立よりも賛成寄りの大学が多く、全体の約6割が肯定的な見方を示した。
国立大学からは「各大学はコスト削減などに努めつつも何とか耐えている状況」「人件費や物価高騰に見合った標準額の設定が必要」などのコメントが寄せられ、厳しい運営状況や社会情勢に即した見直しを求める声が多かったという。









