教育業界ニュース

東京科学大「国際卓越研究大学」認定へ…京大も候補、東大は継続審査

 文部科学省は2025年12月19日、大学ファンドを通じて世界最高水準の研究大学を目指す「国際卓越研究大学」の第2期公募において、東京科学大学が認定基準を満たしたと発表した。京都大学も認定候補とされ、体制強化計画案を磨き上げる。東京大学は、最長で1年間、審査を継続する。

教育行政 文部科学省
東京科学大学の研究等体制強化計画第一次案(概要)
  • 東京科学大学の研究等体制強化計画第一次案(概要)
  • 京都大学の研究等体制強化計画第一次案(概要)
  • 国際卓越研究大学第2期公募の申請の概要
  • 国際卓越研究大学の認定等に関する審査体制

 文部科学省は2025年12月19日、大学ファンドを通じて世界最高水準の研究大学を目指す「国際卓越研究大学」の第2期公募において、東京科学大学が認定基準を満たしたと発表した。京都大学も認定候補とされ、体制強化計画案を磨き上げる。東京大学は、最長で1年間、審査を継続する。

 「国際卓越研究大学」は、世界トップレベルの研究などが見込まれる大学を認定し、政府創設の大学ファンドを活用して支援する制度。2024年の公募で東北大学が第1号の認定校に決定しており、今回の第2期公募には筑波大学、名古屋大学、東京大学、京都大学、東京科学大学、大阪大学、早稲田大学、九州大学の8大学から申請があった。

 国際卓越研究大学の認定等に関する有識者会議(アドバイザリーボード)は、申請のあった8大学のうち、東京科学大学について2026年4月から体制強化計画を開始することを決めた。通常のマイルストーン評価に加え、計画初年度内および3年度内に厳格なモニタリングや助言を実施することが適当と判断。国際卓越研究大学法に基づく認定・認可に向けた準備を進める。

 京都大学については、認定候補とすることを決定。最長で1年間、体制強化計画案の磨き上げを実施したうえで計画を開始することが適当と判断した。

 東京大学は、認定候補とすべきか、さらに確認を要する点があると判断し、最長で1年間、アドバイザリーボードとしての審査を継続する。全学の新たな資源配分基準の明確化・学内合意、法人としてのガバナンス体制への移行を確認のうえ、認定候補大学としての採否を決定する方針で、継続審査中に法人としてガバナンスに関わる新たな不祥事が生じたと判断した場合は審査を打ち切るとしている。

 アドバイザリーボードでは、第2期公募の審査について「8大学それぞれから、現状を変革しようとする強い意志が示されたとともに、初回公募時よりさらに深く検討された意欲的な改革案が創出された」と評価。基本方針を踏まえ、これまでの実績や現時点の水準のみで判断するのではなく、変革への意思(ビジョン)とコミットメントに基づいて審査を実施したという。

 東京科学大学の計画は、医工連携を含む異分野融合のビジョン駆動型研究・教育体制へ迅速に転換し、世界最高水準の研究・教育の実現を目指す内容。大学統合のモメンタム(勢い)も生かして執行部のリーダーシップのもと全学的に検討された計画で、研究・教育体制の抜本的な改革に向けたビジョンが大学全体で共有されている点が高く評価された。

 京都大学の計画では、新たな研究組織体制(デパートメント制)の導入を核として「研究改革」「教育改革」「成長戦略」「経営改革」の戦略的な実行により、大学変革を目指す。歴史や伝統のある大規模な大学として、一定の改革の困難性がある中で、きわめて挑戦的な改革構想を掲げている点が高く評価された一方、各デパートメントの研究力強化戦略等の検討のもととなる京大ビジョン(全学計画)の策定や全学でのデパートメント制への移行は途上であるとして、対応状況を確認したうえで認定・認可の手続きへ移行する。

 アドバイザリーボードによる審査の状況などは、文部科学省Webサイトで公開している。

《奥山直美》

この記事はいかがでしたか?

  • いいね
  • 大好き
  • 驚いた
  • つまらない
  • かなしい

【注目の記事】

特集

編集部おすすめの記事

特集

page top