旺文社教育情報センターは2025年12月12日、大学入試センターが12月9日に公表した「2026年大学入学共通テスト確定志願者数」をもとに、今年度の概況についてまとめた。志願者総数は49万6,237人で、前年(49万5,171人)とほぼ同規模にとどまった。現役志願率の同時発表が見送られた件についても見解を示している。
旺文社の分析によると、2026年共通テストの志願者総数は49万6,237人で、前年に比べ1,066人増加。ほぼ昨年並みの志願者数となった。このうち、現役志願者は42万311人で前年比5,657人減。18歳人口は前年並みと見込まれ、大学への現役志願率(一般入試・総合型選抜など大学全体の志願率)も上昇している中、共通テストの現役志願者数が減少した背景には、年内入試への移行や、一般選抜でも共通テストを利用せず、大学独自試験を選択する受験生が増えているといった要因が考えられるという。
一方、既卒志願者は7万1,310人で前年より6,336人増え、7年ぶりに増加へ転じた。旺文社は、昨年の18歳人口が大きく増え、大学受験生もおよそ2万人増加したものの、大学入学者数の伸びは限定的だった点を指摘。結果として一定数の再チャレンジ層が今年の既卒志願者として戻ってきた可能性があると分析している。
共通テストを利用する大学は698大学で、前年比10大学減となった。新規利用は、環太平洋大学と東京保健医療専門職大学の2大学、利用取り止めは12大学(募集停止等を含む)。国公立大学はすべて利用する一方、私立大学では利用率が86.4%まで低下した。近年は年内入試の拡大が進み、共通テストを利用するメリットと、会場校運営などの負担を比較したうえで利用取りやめを判断する大学が増えている。短大では利用校が大幅に減り、128短大から114短大となった。減少分のうち9短大は募集停止によるもので、短大の厳しい状況が浮き彫りとなっている。
今年は共通テストのWeb出願が初めて導入され、出願処理の負担は軽減されたとされるが、確定志願者数の公表は昨年より数日遅れた。さらに、例年同時に公表される「現役志願率」は後日発表となった。その背景について旺文社は、18歳人口の算出方法や高3生数の扱いに関する制度的な課題が影響している可能性を指摘する。
現在、18歳人口は「3年前の中学校卒業者数」をもとに算出されているが、この集計に特別支援学校中学部が含まれていない点が12月上旬に報道で問題視され、文部科学省も算出方法の見直しを表明した。18歳人口は共通テストの現役志願率には直接関係しないものの、旺文社は、この議論と同様の問題が現役志願率の分母となる「高3生数」にもあてはまる点を指摘している。
現状、「高3生数」には、特別支援学校高等部や通信制高校が含まれていない。特に通信制高校は単位制で学年把握が難しく、年度途中卒業や3年以上かけて卒業する生徒もいるため、正確な高3生数の把握が困難という構造的な問題がある。仮に卒業者数でみると、特別支援学校高等部は例年約2万人、通信制高校は今年度10万人近くになる見込みだという。母数に大きく影響する規模であることから、大学入試センターも現役志願率の公表を慎重に進めていると思われ、発表は年末から年明けになる見通し。その際、通信制高校については予測値で含めるか、高3生数に含めない、のいずれかの判断によるとみられる。
旺文社教育情報センターの概況分析では、共通テスト志願者の男女の割合や、都道府県ごとの志願者数(全体・現役・既卒)についてもまとめている。










