文部科学省は2024年度の補正予算案を発表した。総額9,067億円が計上され、教育と文化の振興に重点が置かれている。特に、リカレント教育のエコシステム構築や文化財のデジタル化、科学技術の振興に重点を置いている。
内訳をみると、リカレント教育エコシステムの構築に21億円を割り当て、産学官連携プラットフォームを通じて地域や産業界の人材育成ニーズに応じた教育プログラムの開発を進める。また、認定日本語教育機関の活用促進に4億円を投じ、企業からの教育投資を通じて質の高い教育を提供するモデルの創出を目指す。
文化芸術・スポーツの振興では、舞台芸術や博物館収蔵品のデジタル・アーカイブ化支援に7億円が充てられ、デジタル技術を活用した文化芸術活動の価値や課題の可視化が推進される。さらに、AIを活用した海賊版サイトの検知・分析の実証には3億円が割り当てられ、海賊版被害の実態把握と権利行使の自動化が図られる。
科学技術の振興に関しては、特定先端大型研究施設の整備・高度化に248億円が投じられ、スーパーコンピュータ「富岳」の次世代システムの開発が進められる。また、宇宙分野の研究開発には600億円が計上され、国際宇宙探査計画における与圧ローバの開発や基幹ロケットの高度化が進められる。
DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進では、初等中等教育におけるデジタル人材育成に383億円が投じられ、GIGAスクール構想の推進や生成AIの活用に関する実証が行われる。教育DXを支える基盤的ツールや各種システムの整備には71億円が割り当てられ、教育データの利活用が加速される。
防災・減災および国土強靱化の推進では、学校施設等の整備に2,883億円が投じられ、児童生徒の安心・安全の確保や教育環境の向上が図られる。特に、避難所となる学校体育館への空調整備が加速される。
「誰一人取り残されない社会」の実現に向けて、部活動の地域連携や地域クラブ活動への移行に29億円が割り当てられ、先導的に取り組む都道府県を重点地域として指定し、域内の政策課題への対応等を早急に推進する。また、教師を取り巻く環境整備に62億円、教員研修の高度化や研修環境等整備に2億円、不登校・いじめ対策等の推進に4億円が投じられる。
この補正予算案は、教育や文化、科学技術の各分野における課題解決を目指し、地域社会の活性化や国際競争力の強化を図るものである。