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教職調整額13%実現へ、日高教が署名提出

 2024年10月18日、日高教は文部科学省において、教職調整額13%の実現に向けた署名を提出した。署名は、福島高教組、栃木高教組、神奈川県立高教組、静岡県独立高教組、島根高教組、徳島高教組、愛媛高教組、高知独立高教組、福岡教育連盟、大分県公高教の10単組の協力により、6,104筆が集まった。署名提出には、日高教・小野山享宏中央執行委員長(島根高教組委員長兼務)をはじめとする5名が参加し、文科省大臣官房学習基盤審議官・森孝之氏、初等中等教育局財務課課長補佐・斉藤健一氏と懇談を行った。

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教職調整額13%実現に向けた署名提出
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 2024年10月18日、日高教は文部科学省において、教職調整額13%の実現に向けた署名を提出した。署名は、福島高教組、栃木高教組、神奈川県立高教組、静岡県独立高教組、島根高教組、徳島高教組、愛媛高教組、高知独立高教組、福岡教育連盟、大分県公高教の10単組の協力により、6,104筆が集まった。署名提出には、日高教・小野山享宏中央執行委員長(島根高教組委員長兼務)をはじめとする5名が参加し、文科省大臣官房学習基盤審議官・森孝之氏、初等中等教育局財務課課長補佐・斉藤健一氏と懇談を行った。

 教職調整額の引き上げは、教育改革の一環として行われている。2024年5月13日には中教審の諮問部会が教職調整額10%以上は適切な水準であると示し、6月21日には教職調整額を10%以上に引き上げる教員給与特別措置法(給特法)の改正案が議会に提出されることが閣議決定された。さらに、8月27日には文科省が「処遇改善」として教職調整額を10%以上に言及し、8月29日には教職調整額13%を含む予算232億円を財務省に対して概算で予算要求した。

 しかし、財務省は「文科省施策全体の歳出・歳入の見直しにより財源を捻出し、追加での予算増額をすることは認めない」との見解を示し、教職調整額13%に対して「根拠に乏しい」と批判した。教員のなり手不足は給与だけが問題ではなく、学校における働き方改革が重要であると指摘され、教職調整額13%の実現は不透明な状況となっている。

 教員業務には、教科指導や生徒指導、進路指導、キャリア教育、ICT教育、特別活動の指導、部活動指導、高校魅力化推進活動、地域連携活動などが含まれる。これらの業務を遂行する過程で、生徒対応や保護者対応、地域連携対応、特別支援対応、いじめ対応、不登校対応、貧困およびヤングケアラー対応、危機管理対応など多岐にわたる対応が求められる。教員は多くの知識と専門性を駆使し、日本の未来を支える人材の育成を行っている。

 教職調整額13%の実現は、教育が多様化・複雑化し、多くの知識や高度な専門性を必要とされる現代の教師という仕事の特殊性に対し、教師の尊厳とプライドの対価として支払われるものだと考えられている。教職調整額は、教師の残業代として支払われるものという誤った認識があるが、時間外勤務の代償は、学校における働き方改革の延長線上に、残業手当としてあるべきである。

 11月5日、日高教は財務省において、教職調整額13%の実現を含む教育予算の確保について申入れを行った。日高教からは小野山中央執行委員長をはじめとする5名が参加し、財務省主計局文部科学係主計官補佐・柳川純一氏らと交渉を行った。柳川氏は「教職調整額増額に関する要望は多く寄せられており、財務省としても要望として受け止めている」と述べた。

 同日、日高教は議員会館に向かい、各県選出の国会議員に対して教職調整額13%実現に関する要望書を提出した。ある国会議員は「教員の働き方は、労基法に基づかない過酷な実態であることは現状から把握している。本来ならば、労働に対する対価もきちんと支払っていかなければいけないと感じている」と述べた。

 日本高等学校教職員組合は、高等学校および中等教育学校、特別支援学校教職員で構成される日本最大の職員組合である。勤務条件の維持改善、教育諸条件の整備・充実を主要な課題として掲げ、文部科学省など関係機関との交渉や関係団体への要請行動を展開している。日高教は公務公共サービス労働組合協議会に加盟し、全国の公務員の仲間と広く連携している。

 日高教全国ユニオンは、個人が日高教に加盟して一緒に活動する制度である。組合に入ることで、教育に関する情報提供を受けたり、文科省をはじめとする省庁や政党への要請行動に参加したりすることができる。教職員の権利や制度は、労働組合と当局との交渉でつくりあげてきたものであり、現場の思いを形にするためには、労働組合を通しての交渉が必要だろう。

《佐藤愛》

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