スマートニュース メディア研究所は2026年2月27日、埼玉県戸田市教育委員会と共同で開発した小・中学生向け「メディアリテラシー学習指導案」を無償公開した。文部科学省による情報モラル教育の実施通知を受け、全国の教育現場で活用できる教材として提供する。2026年3月までに戸田市全小中学校での実施を予定している。
近年、児童生徒間の暴力行為等の動画がSNS上に投稿・拡散される事案が発生し、二次被害の懸念も指摘されている。文部科学省はこれを受け、各学校に対し情報モラルに関する指導を2025年度中に実施するよう通知した。スマートフォンやSNSの普及により、児童生徒は日常的に多様な情報に触れ、同時に発信者にもなる環境にある。
戸田市ではこれまでも、情報に出会った際に「立ち止まって考え、判断する力」を育てるメディアリテラシー教育に取り組んできた。こうした社会的背景と学校現場の課題を踏まえ、戸田市教育委員会とスマートニュース メディア研究所は、「情報との向き合い方」をテーマとした学習指導案を共同で開発した。指導案は、児童生徒が情報を吟味し、多角的に考える視点を身に付けることを目的としている。
なお、スマートニュース メディア研究所は2025年にも戸田市教育委員会と連携し、中学生を対象にニュース接触とメディア信頼の変化に関する学術調査を実施するなど、継続的に協働してきた。今回の指導案開発は、そうした実証的な取組みを踏まえた連携の一環となる。
この取組みでは、学校現場で再現可能な教材として、「メディア・リテラシー指導略案(授業設計を示した指導案)」「授業スライド(実際に授業で児童生徒に提示する教材)」「掲示用資料(授業のポイントを教室内に掲示できる資料)」の3点を無償提供する。いずれも45分授業で実施可能な構成とし、発達段階に応じた内容設計としている。
中学校向けの題材名は「『考え方』を考えよう(中学校版)」。ニュースやSNS投稿を題材に、情報を信じてよいか、拡散後にどのような影響が生じるかを考える。「いつ・ふく(複数の情報源)・えび(エビデンス)・はつ(発信元)・ばい(バイアス)」という視点から情報の信頼性を検討し、多角的に判断する力を育む。
小学校高学年向けの題材名は「『考え方』を考えよう(小学校・高学年版)」。中学校版と同様に、「いつ・ふく・えび・はつ・ばい」の視点を活用しながら、情報の受け止め方を考える。対話を通じて、自らの判断の根拠を言語化する構成としている。
小学校低・中学年向けの題材名は「『ほんとうかな?』と考えてみよう」。身近な"びっくりする情報"を題材に「誰が言っているのかな?」「いつの話かな?」「ほかの人はどう思うかな?」「これを広めたらどうなるかな?」といった問いを通じて、「本当かな?」と立ち止まる習慣を育む。
2月26日には、戸田市立戸田第一小学校にて、この学習指導案に基づく授業を実施した。児童生徒は情報を広めた場合の影響について話し合い、多角的な視点から情報との向き合い方を考えた。
スマートニュース メディア研究所は、学校現場で活用できるメディアリテラシー教材の研究・開発・無償提供に継続的に取り組んでいる。2026年2月には、総務省とプラットフォーム事業者等による官民連携プロジェクト「DIGITAL POSITIVE ACTION(DPA)」が主催する「DIGITAL POSITIVE ACTION AWARDS 2026」において「School賞」を受賞した。受賞教材「SNSのアルゴリズムを体験しよう」は、児童生徒がアルゴリズムの仕組みを体験的に学べる内容が教育現場で評価されたもの。今回の戸田市との取組みも、学校現場の課題に即した実践的な教材開発の一環となる。
学習指導案(メディア・リテラシー指導略案、授業スライド、掲示用資料)は、全国の教育現場に向けて無償でダウンロード可能。スマートニュース メディア研究所は今後も、学校現場と連携しながら、児童生徒が情報と主体的に向き合い、判断する力を育むメディアリテラシー教育の普及に取り組んでいくとしている。








