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教育課程や学習評価のあり方…有識者検討会が論点整理

 文部科学省は2024年9月18日、「今後の教育課程、学習指導および学習評価等の在り方に関する有識者検討会」の論点整理を公表した。今後検討を深める具体的な論点として、学習評価の現状や今後の対応、教育課程の柔軟性のあり方、教育課程の実施にともなう負担への向き合い方など、有識者の意見をまとめている。

教育行政 文部科学省
今後の教育課程、学習指導及び学習評価等の在り方に関する有識者検討会
  • 今後の教育課程、学習指導及び学習評価等の在り方に関する有識者検討会
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 文部科学省は2024年9月18日、「今後の教育課程、学習指導および学習評価等の在り方に関する有識者検討会」の論点整理を公表した。今後検討を深める具体的な論点として、学習評価の現状や今後の対応、教育課程の柔軟性のあり方、教育課程の実施にともなう負担への向き合い方など、有識者の意見をまとめている。

 「今後の教育課程、学習指導および学習評価等の在り方に関する有識者検討会」は、学校における教育課程、学習指導、学習評価などの改善に向け、必要な検討を行うために設置。2022年12月から、計15回にわたり会議を重ねてきた。

 9月17日の会議で論点整理案について協議し、9月18日に論点整理を公表した。「これからの社会像とこれまでの学習指導要領の趣旨の実現状況」「これからの社会像や現状の課題を踏まえた資質・能力」「各教科等の目標・内容、方法、評価」「多様な個性や特性、背景を有する子供たちを包摂する柔軟な教育課程」「学習指導要領の趣旨の着実な実現を担保する方策や条件整備」「学習指導要領の趣旨の実現に向けた政策形成・展開」の6項目で構成している。

 現行の学習指導要領が「知識および技能」「思考力、判断力、表現力等」「学びに向かう力、人間性等」の3つの柱で資質・能力を整理したことは、「これからの社会像や現状の課題を踏まえても基本的には妥当」と評価したが、理解にブレがみられ資質・能力の育成の障害ともなっているため「さらなる整理・具体化が必要」とも指摘した。

 情報活用能力については、「生成AIの加速度的発展によりSociety5.0のリアリティが増す中、教育課程全体での扱いに加え、各教科等を通じた具体的な充実方策も併せて検討すべき」とした。

 学習評価を「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」の3観点で行うこととした現行の観点別評価については、授業改善に重要な役割を果たすものである一方、特に「主体的に学習に取り組む態度」の観点で「主体性」の意味が具体的に整理されていないこともあり、依然としてノート提出の頻度などの「勤勉さ」の評価にとどまっている学校もあると指摘。「主体的に学習に取り組む態度」の観点は、「資質・能力としての『学びに向かう力、人間性等』の整理の状況を踏まえつつ、子供がより主体性を発揮できるようにする観点から検討すべき」とした。

 学校の教育課程編成の柔軟性のあり方では、教育課程特例校、授業時数特例校、小中一貫、中高一貫といった現行の教育課程の特例制度をより活用しやすくするなど、「各学校の教育課程編成に係る教育委員会(学校)の裁量拡大のあり方について検討すべき」と提言。年間の最低授業週数(35週以上)、単位授業時間(小学校1単位時間45分、中学校1単位時間50分)は、現在も学校に裁量が認められているが、規定が硬直的な教育課程編成を助長しているとの指摘もあるとして、「取扱いを検討すべき」としている。

 教育課程を実施するうえでの学校現場の過度な負担を防ぐためのあり方については、「負担が生じる原因に丁寧にアプローチし、教育課程と教育環境整備が全体として機能するようにすべき」と記載。そのうえで「総授業時数については、現在以上に増やすことがないよう検討すべき」とも言及した。

《奥山直美》

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