文部科学省は2024年9月6日、特別支援教育に関する調査結果を公表した。通級指導在籍の児童生徒数は計19万8,343人。新たに実施した調査で、小学校85.5%、中学校63.6%、高校90.7%の教員が採用後10年以内に特別支援教育に関する経験が2年以上ないことが明らかとなった。
同調査は、特別支援教育の一層の推進に向け、文部科学省が特別な支援が必要な幼児児童生徒に関する実態調査「令和5年度(2023年度)特別支援教育体制整備状況調査」と「令和4年度(2022年度)通級による指導実施状況調査」の結果を取りまとめたもの。
2023年度の特別支援教育体制の整備状況(2023年5月1日現在)については、国公私立4万5,645校・全校種の合計値がすべての項目において前年度調査の数値を上回った。このうち、「校内委員会の設置率」は86.6%から87.5%へ、「実態把握の実施率」は95.9%から96.5%へ、「特別支援教育コーディネーターの指名率」は83.7%から90.1%へと拡大。小・中学校においては、いずれの項目も9割以上の達成率となった。
新たに実施した「教師の専門性に関する調査」では、小学校で85.5%、中学校で63.6%、高校で90.7%の新規採用教員が採用後10年以内に特別支援教育に関する経験が2年以上ないことが明らかとなった。
一方、2022年度通級による指導実施状況調査(2022年3月31日現在)によると、全国で通級による指導を受けている児童生徒数は、小学校16万4,735人、中学校3万1,553人、高校2,055人の計19万8,343人。小・中・高校のすべてで増加し、前年度と比べ1万4,464人増加した。障害種別では、言語障害4万8,628人がもっとも多く、ついで注意欠陥多動性障害4万3,050人、自閉症4万2,081人など。小中高校の在籍児童生徒数に占める割合は1.6%だった。
高校では「通級による指導」が必要と判断された2,915人のうち、「通級による指導」を行わなかった生徒が860人存在。「通級による指導」を行わなかった理由については、「本人や保護者が希望しなかったため」との回答がもっとも多かったという。
今回の調査では、特に中学校と高校において通級による指導が十分に実施されていない都道府県もみられたことから、文部科学省は通級指導の必要性や意義について本人・保護者への普及・周知に取り組むとともに、指導体制の充実等に務めるよう、各学校・教育委員会へ対応を依頼している。