文部科学省は2023年5月16日、「Chat GPT(チャットGPT)」をはじめとする生成AIの学校現場での取扱いについて議論する「デジタル学習基盤特別委員会」の初会合を開いた。生成AIの活用が考えられる場面や授業アイデア、生成AIを活用した校務の負担軽減の可能性等を盛り込み、夏前をめどにガイドラインとして取りまとめる。
デジタル学習基盤特別委員会では、学校現場での生成AIの利用にはさまざまな議論や懸念があり、批判的思考力や創造性への影響、個人情報や著作権保護の観点等についてリスクの整理が必要だと指摘した。
その一方、学習指導要領では学習の基盤となる資質・能力に「情報活用能力」を位置付けており、新たな技術である生成AIを「どのように使いこなすか」「自分の考えを形成するのに生かす」という視点も重要だとした。
ガイドラインの項目イメージには、「生成AIについての説明」「情報活用能力との関係」「年齢制限や著作権、個人情報の扱い」「活用が考えられる場面、禁止すべきと考えられる場面」「授業デザインのアイデア(生成AI自体を学ぶ授業+具体の活用法)」をあげた。Chat GPTを提供するOPEN AI社の利用規約によると、Chat GPTの利用は13歳以上、18歳未満の場合は保護者の許可が必要とされている。
ガイドラインは、政府全体の議論も踏まえ、夏前をめどに策定・公表予定。暫定的な「ガイドラインver1.0」として公表し、機動的に加除修正していくことを想定しているという。
5月16日に会見した文部科学省の永岡桂子大臣は、策定するガイドラインについて「具体的内容は今後の検討だが、活用にあたっての参考となる資料として示すもの。教師の業務量の増加につながるものではないと考えている。生成AIを活用した校務の負担軽減の可能性についても盛り込むことを考えている」と語った。