新学習指導要領の取組みにあたり、高校が特に課題感があるとした教科1位は「情報」であることが2023年1月5日、リクルート進学総研の調査結果から明らかになった。「総合的な探究の時間」は6割が生徒の変化を感じている一方、8割近くが教員の負担を課題にあげている。
調査は、全日制高校を対象に実施した「高校教育改革に関する調査2022」。全国の全日制高等学校4,721校を対象に実施し、943件の回答を集計した。調査期間は、2022年8月4日~9月9日(集計対象は9月13日郵送到着分まで)。「新学習指導要領・ICT活用編」と「進路指導・キャリア教育編」があり、今回は「新学習指導要領・ICT活用」編の結果を公表した。
新学習指導要領への対応の進捗度は、「授業」「教材」「評価」のいずれも「計画通り(計画以上)に進んだ」が7割を超えた。特に「授業」はもっとも高い77.9%であった。
新学習指導要領の取組みにあたり、課題感のある教科としてあげられたのは、1位「情報」46.3%、2位「地理歴史」37.2%、3位「国語」32.7%。リクルート進学総研では「『情報』は2025年度大学入学共通テストに追加、『歴史総合』や共通必履修科目として『現代の国語』『言語文化』が新設された影響」と推察している。
「総合的な探究の時間」への取組みによる生徒の変化として「そう思う」とした割合がもっとも高いのは、「主体性・多様性・協働性が向上した」12.4%。「ややそう思う」まで含めると61.3%が主体性・多様性・協働性向上の変化を感じていることがわかった。
「総合的な探究の時間」に取り組むにあたっての課題のトップは「教員の負担の大きさ」78.8%。「教員間の共通認識不足」53.6%、「教員の知識・理解不足」43.9%、「評価軸がない、評価の方法が不明確」37.5%と続いた。
授業やホームルーム等の教育活動にICTを学校全体または学年や課程・学科・コース・教科単位で活用している割合は80.3%。前回の2021年調査より14.6ポイント上昇した。ICT活用への取組みによる生徒の変化として「そう思う」と回答した割合が高いのは、「学びに向かう姿勢・意欲が向上した」42.5%、「主体性・多様性・協働性が向上した」41.6%だった。
一方、ICT活用にあたっての課題では「教員の知識・理解不足」65.4%、「教員の負担の大きさ」63.6%が高く、いずれも6割を超えた。今後の教育活動におけるICTの活用方法については、「宿題・課題等をオンラインで配布」が74.3%と突出し、前回調査より6.3ポイント上昇した。