新潟県教育委員会は2025年6月26日、「県立高校等再編整備計画」を公表した。2026年度から2029年度にかけて、生徒ひとりひとりの夢を叶える特色ある学校づくりを推進するため、県立高校の再編整備を実施する。
同計画は、2025年3月に策定した新しい「県立高校の将来構想」に基づくもの。この構想の中で2034年度の学校数は64校とされており、2025年度の86校から22校減が見込まれている。少子化をはじめ、GIGAスクール構想の推進に伴うICT環境の整備、広域通信制高校への進学者数増加など、県立高校を取り巻く環境の大きな変化に対応するため同計画は策定された。
「県立高校等再編整備計画」では、2029年度までの再編整備の概要を提示。中学校や中等教育学校への進学を控えた小学校6年生およびその保護者にも、高校入学時の学校・学科のおおよその姿を事前に把握できるよう、向こう4年分について公表している。
年度ごとに計画を見ていく。
【2025年度】
三条高校に理数科を設置し、理数科内にメディカルコースおよびイノベーションコースを設置する。
【2026年度】
十日町高校に、探究的な学びに重点を置いた新しい普通科系学科「クロス探究科(仮称)」を設置する。また、新潟北高校と豊栄高校を統合し、新潟北高校の校舎内に、デザイン、健康科学、こども福祉など、多彩な学びの選択肢を備えた単位制による全日制普通科高校を新たに設置する。
【2027年度】
国際情報高校を募集停止し、同校舎内に「国際フロンティア高校(仮称)」を設置。全国の公立高校では初となるケンブリッジ国際教育プログラムを導入する。同プログラムは世界最大の国際カリキュラム・評価開発機関であるケンブリッジ大学国際教育機構が提供するもので、アメリカ、イギリスなど世界中の大学への入学資格の取得につながるとしている。
【2028年度】
正徳館高校を長岡明徳高校と統合し、長岡明徳高校を「セルフデザインハイスクール」とする。 同時に長岡明徳高校夜間部を募集停止とし、長岡明徳高校に通信制課程を設置する。また、高田南城高校を「セルフデザインハイスクール」とする。この「セルフデザインハイスクール」は、生徒の多様な学習ニーズに応えるため、定時制課程と通信制課程の垣根を越えた学びの仕組みを構築。遠隔教育の活用やデジタルレポートの導入を行い、生徒が自分の状況に合わせて学びの方法や場所を選択することができるという。
【2029年度】
新潟県央工業高校と三条商業高校を統合し、工業系学科と商業系学科をあわせもつ新たな専門学科の高校「産業高校」を設置する。生徒が自分の所属する専門学科での深い学びを軸としながら、他の専門学科との横断的・協働的な学びを進め、新しい価値を創造し、経営や技術面において産業界をリードする人材を育成する。また、新潟翠江高校を新潟向陽高校と統合。新潟翠江高校の通信制課程を新潟向陽高校に移管し、全日制課程と通信制課程を併置した「セルフデザインハイスクール」とする。なお、新潟翠江高校定時制課程については募集停止とする。2028年度入学生が最後の入学生となり、当該年度の入学生が4年間で卒業する2031年度末に閉校する予定。
計画は、県内を6つのエリアに分け、生徒の就学の機会に配慮し、交通事情などそれぞれのエリアの状況に配慮しながら、必要な学校・学科をバランス良く配置するとしている。各エリアに1学年あたり4学級以上の普通科系高校、3学級以上の専門系高校(総合学科を含む)、生徒ひとりひとりの状況に合わせて学べる高校を1校以上配置する。
これにより、「県立高校等再編整備計画」に示された2026年度から2029年の4年間で、学校数は全日制で3校減、定時制で1校減の合わせて4校減となる。
また、中高一貫教育校では、2026年度に柏崎翔洋中等教育学校前期課程を募集停止とし、柏崎高校の校舎内に「柏崎高校附属中学校(仮称)」を設置し併設型中高一貫教育校とするほか、佐渡中等教育学校前期課程の募集を停止し、佐渡中等教育学校の校舎内に佐渡高校両津キャンパス(単位制による全日制課程普通科)を設置する。2028年度には村上高校と村上中等教育学校を統合し、新たな併設型中高一貫教育校を設置する。併設型中学校は2028年度から募集を開始し、併設型高校は2031年度から募集を開始する予定だ。
なお、同計画では、2026年度から2029年度の募集学級数の見込みは、現時点でのデータに基づく見通しを示したものである。2026年度の募集学級数ならびに募集定員については、今後、最新の学校基本調査の結果等も踏まえ、2025年10月の教育委員会の議決により決定される。