文部科学省は2021年7月29日、2020年度(令和2年度)「学校図書館の現状に関する調査」の結果を公表した。公立学校図書館における1人あたりの年間貸出冊数は、小学校49冊、中学校9冊、高校3冊。中学校になると貸出冊数が激減し、学校段階が上がるにつれて少なくなっている。 文部科学省は、学校図書館に関する行政上の参考とするため、都道府県教育委員会等を通じて学校図書館の現状に関する調査を行っている。調査対象は、小学校、中学校、高校、特別支援学校、義務教育学校、中等教育学校。2020年度の状況を取りまとめた。 「司書教諭」を発令している学校の割合は、小学校69.9%、中学校63.0%、高校81.4%。前回の2016年度調査と比較すると、小学校で1.9ポイント上昇した一方、中学校は2.0ポイント、高校は3.1ポイント減少した。司書教諭は12学級以上の学校には必ず置かなければならないとされているが、12学級以上の学校の発令状況は小学校99.2%、中学校96.9%、高校93.2%であった。 「学校司書」を配置している学校の割合は、小学校68.8%、中学校64.1%、高校63.0%。前回の2016年度調査との比較では、小学校で10.0ポイント、中学校で6.1ポイント増加、高校で3.6ポイント減少した。 公立義務教育諸学校の学校図書館に整備すべき蔵書の標準として定められている「学校図書館図書標準」を達成している学校の割合は、小学校71.2%、中学校61.1%。前回の2016年度調査より、小学校で4.8ポイント、中学校で5.8ポイント増加しているものの、その割合はいまだ十分ではない状況にある。 蔵書をデータベース化している学校の割合は、小学校80.5%、中学校79.3%、高校92.2%。学校に新聞を配備している学校の割合は、小学校56.9%、中学校56.8%、高校95.1%。蔵書のデータベース化、新聞の配備とも2015年度末現在の数値より小中高で増加している。電子書籍を所蔵している学校の割合は、小学校0.2%、中学校0.3%、高校1.4%であった。 学校図書館における1人あたりの年間貸出冊数は、小学校49冊、中学校9冊、高校3冊。義務教育学校は前期課程47冊、後期課程14冊。中等教育学校は前期課程13冊、後期課程4冊。特別支援学校は小学部12冊、中学部9冊、高等部5冊。中学校段階になると貸出冊数が激減し、学校段階が上がるにつれて減る実態が浮き彫りとなっている。貸出状況に関する調査は、2016年度調査までは未実施で、今回初めて盛り込まれた。 授業日数のうち、学校図書館の開館日数の割合は、小学校94.3%、中学校84.6%、高校93.1%。長期休業日数のうち、学校図書館の開館日数の割合は、小学校16.9%、中学校16.7%、高校50.5%。 授業における学校図書館の活用状況では、「国語」や「総合的な学習(探究)の時間」の割合が高い傾向にあった。活用している割合は、「国語」が小学校94.7%、中学校72.8%、高校56.6%、「総合的な学習(探究)の時間」が小学校86.7%、中学校65.9%、高校35.8%だった。 文部科学省では今後の対応として、学校司書・図書・新聞については「学校図書館図書整備等5か年計画」に基づき、地方財政措置が講じられており、引き続き、計画的な整備を促進。学校図書館を活用した授業改善や読書活動の推進のための学校司書の配置等による効果的な取組事例の横展開等を行う他、各学校では校長のリーダーシップのもと、「学校図書館ガイドライン」を参考に学校図書館の適切な運営や利活用等、学校図書館の充実を促していくとしている。