リシードで連載中の松下隼司先生が2025年12月31日、絵本『がっこうとコロナ』(教育報道出版社)を出版する。2020年、新型コロナウイルス感染拡大防止のため全国の学校が一斉休校となり、子供たちの「当たり前の日常」が大きく変わった。その記憶を、そして子供たちがさまざまな制限を乗り越えた姿を未来に残すために生まれた絵本だ。
文を松下先生が書き、絵はダンスカンパニー「コンドルズ」のメンバーであるオクダサトシ氏が担当。現役の小学校教諭ならではの視点と、アート感覚あふれる絵で描かれたこの絵本に込めた思いを松下先生に聞いた。
Amazon「がっこうとコロナ」コロナと向き合った子供たちの姿を広く伝えたい
新型コロナウイルス感染症対策のため、2020年3月2日から全国の小・中・高・特別支援学校が一斉に臨時休校になりました。休校明け、子供が登校するようになっても、今まで当たり前にできていたことができなくなりました。
具体的には、次のようになりました。
1)ソーシャルディスタンスを保つ
2)子供同士のふれあいが禁止
3)教師が子供とハイタッチするなども禁止
4)給食は全員が前(一方向)を向いて黙食
5)給食後の歯磨き、禁止
6)授業は話しあいをしない
7)教室の座席は、隣同士、席をくっつけない
8)休み時間は、ドッジボール禁止
9)遠足、林間、修学旅行の中止や延期
10)フェイスシールドをつけて、音楽の授業を受ける
11)児童朝会は運動場や講堂でしないで、放送で受ける(密を避けるため)
2011年3月11日に起きた「東日本大震災」をテーマにした絵本が、たくさんあります。東日本大震災の被害を忘れないため、東日本大震災にまつわるエピソードを後世に伝えていくため、東日本大震災をきっかけに生まれた絆を伝えるため、たくさんの絵本が出版されています。
「コロナウイルス」をテーマにした絵本は、感染しないための対策絵本があります。しかし、「コロナウイルス」と、子供たちが学校の中でどう向きあってきたかというエピソード絵本はありません。
是非、学校で子供たちがコロナウイルスとどのようにたくましく向きあってきたか、制限を乗り越えてきたかを、絵本を通して伝えていきたいです。残していきたいです。
そこで、全国の子供たちや親、大人たちに伝えたいと思い、絵本をつくりました。

コロナ禍の学校生活は、子供たちにとっても、教育現場にとっても大きな試練であった。その記憶をどのように残し、どのように語り継ぐか。『がっこうとコロナ』は、その問いに応える1冊である。絵本を通して、あの時代を振り返りながら、改めて「学校の意味」を考えるきっかけにしていただきたい。







