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休校中の学習指導、オンラインを特例授業に認める…文科省

 文部科学省は2021年2月19日、感染症や災害などの非常時に登校できない児童生徒に対する学習指導について、全国の学校設置者に通知を発出した。オンラインを活用した学習指導を特例の授業として認め、十分な学習内容の定着が見られれば、再度の対面指導は不要としている。

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  • 文部科学省の通知「感染症や災害等の非常時にやむを得ず学校に登校できない児童生徒に対する学習指導について」(一部)
 文部科学省は2021年2月19日、感染症や災害などの非常時に登校できない児童生徒に対する学習指導について、全国の学校設置者に通知を発出した。オンラインを活用した学習指導を特例の授業として認め、十分な学習内容の定着が見られれば、再度の対面指導は不要としている。

 2021年1月の中央教育審議会による答申「『令和の日本型学校教育』の構築を目指して」などを踏まえ、小学校(義務教育学校の前期課程を含む)、中学校(義務教育学校の後期課程および中等教育学校の前期課程を含む)、全日制・定時制課程の高等学校、特別支援学校(幼稚部を除く)における非常時に臨時休業または出席停止などにより、やむを得ず学校に登校できない児童生徒に対する学習指導について、対応内容を取りまとめた。

 感染症や自然災害など、非常時に臨時休業や出席停止などにより、やむを得ず登校できない児童生徒に対しては、「学習に著しい遅れが生じることのないようにするとともに、規則正しい生活習慣を維持し、学校と児童生徒との関係を継続することが重要」と記載。同時双方向型のWeb会議システムを活用するなどして、指導計画などを踏まえた教師による学習指導と学習状況の把握が重要とした。

 学習指導を行う際には、主たる教材である教科書に基づいて指導するとともに、デジタルまたはアナログの教材、オンデマンド動画、テレビ放送など、教科書と併用できる教材を組み合わせたり、ICT環境を活用したりして指導することが重要であると説明。課題を配信する際は、児童生徒の発達段階や学習状況を踏まえ、適切な内容や量となるよう留意することも求めている。

 教師による学習指導は、学習の状況や成果を学校における学習評価に反映することができる。また、「教科等の指導計画に照らして適切に位置付くものである」「教師が児童生徒の学習状況および成果を適切に把握することが可能である」という要件を満たし、児童生徒の学習状況や成果を確認した結果、十分な学習内容の定着が見られ、再度指導する必要がないものと校長が判断したときには、その内容を再度学校の対面指導で取り扱わないこととすることができる。一部の児童生徒への学習内容の定着が不十分である場合には、別途、個別に補習を実施するなど必要な措置を講じる。

 また、非常時に臨時休業や出席停止などによりやむを得ず学校に登校できない児童生徒については、従前通り、指導要録上の出欠の取扱いでは、登校できなかった日数は「欠席日数」としては記録しないこととする。

 同時双方向型の学習指導、課題の配信・提出、教師による質疑応答、児童生徒同士の意見交換など、オンラインを活用した特例の授業を実施したと校長が認める場合には、指導要録の「指導に関する記録」の別記として、非常時にオンラインを活用して実施した特例の授業の記録について学年ごとに作成する。

 平常時から、非常時を想定して、自宅などでもICTを活用して学習を継続できるよう環境を積極的に整えることが重要とも指摘。非常時にやむを得ず学校に登校できない状況にあった児童生徒については、各学年の課程の修了または卒業の認定にあたり、弾力的に対処し、進級・進学などに不利益が生じないよう配慮する。

 非常時に臨時休業を行い、学校教育法施行規則に定める標準授業時数を踏まえて編成した教育課程の授業時数を下回った場合、そのことのみをもって学校教育法施行規則に反するものとはされないとも説明。高等学校や特別支援学校高等部で、学習指導要領に定める標準(35単位時間の授業を1単位として計算)を踏まえて編成した教育課程の単位時間数を下回った場合であっても弾力的に対処し、単位の修得の認定を行うことができるとした。

 なお、2020年4月10日付の通知「新型コロナウイルス感染症対策のための臨時休業等に伴い学校に登校できない児童生徒の学習指導について」は、今回の通知をもって廃止となる。
《奥山直美》

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