NPO法人eboardは2026年5月20日、生成AIを活用した「やさしい日本語」への変換・翻訳ツールについて、全国の学校・教育委員会・教育関係団体を対象に2027年3月末まで無償提供すること発表した。外国につながる子供や読み書きに困難のある特別支援が必要な子供の学びやコミュニケーションを支援することを目的としており、2026年4月以降は法人の自己資金で無償提供を継続すると同時に、寄付による支援の募集も開始した。
日本語指導が必要な児童・生徒(小学生・中学生・高校生)の数は年々増加しており、2023年度には約6万9,000人にのぼった(出典:日本語指導が必要な児童生徒の受入状況等に関する調査・令和5年度)。こうした子供たちへの支援として「特別の教育課程」による指導が行われているが、指導時間が「日常会話レベル」に達する程度で終了することが多く、支援なしで教科学習に参加できるレベルに届かないことが多いのが現状となっている。
さらに、多くの自治体・現場では財源不足や人材不足などにより、日本語指導体制を十分に整えることが難しい状態にある。全国規模・地域規模でも外国人の在籍数に偏りがあり、行政による画一的な対応を難しくしている。
「やさしい日本語」とは、難しい言葉を言い換えるなど、相手に配慮したわかりやすい日本語のこと(出典:出入国在留管理庁・文化庁「在留支援のためのやさしい日本語ガイドライン」)。eboardが生成AIを活用して開発したツールは、おもに3つの機能で構成されている。
「やさしい日本語」化ツールでは、文章をコピー&ペーストするだけで、瞬時に「やさしい日本語」に変換する。ルビ(ふりがな)の表示・非表示も選べるため、子供の日本語レベルにあわせた調整が可能。カメラ機能を使って画像から文章を読み取ることもでき、スムーズに学習につなげられる。
リアルタイム翻訳ツールでは、音声を即座に翻訳し、タブレットやスクリーンに表示する。多様な言語背景をもつ人とのコミュニケーションをサポートする。「やさしい日本語」辞書では、わからない単語を入力すると、その意味を「やさしい日本語」で解説する。意味を補う画像やイラストも自動で表示される。
2024年度から2025年度にかけて、eboardは全国の外国につながる子供や読み書きに困難があるなど特別支援が必要な子供が在籍する学校で、ツールの実証を行った。外国につながる子供への実証では、ツールの利用により読解負担が大幅に軽減されたことが明らかになった。約4人に3人が「文章を読むのが楽になった」「これなら自分でも文章が読めそうだ」と回答している。
特別支援が必要な子供への実証では、文章が読みやすくなるだけでなく、コミュニケーションを中心とした生活部分の支援につながるとの声も聞かれた。ディスレクシア(読み書き困難)の子供への実証では、約5人に4人が「文章を読むのが楽になった」「これなら自分でも文章が読めそうだ」と回答した。軽度知的障害の子供への実証でも、約4人に3人が同様の回答をしている。
支援者からは「漢字や語彙の難しさで学習につまずいていた児童も『やさしい日本語』を手がかりに理解が進み、学習意欲が高まりました。音読のスピードが上がり自信をもって読めるようになったことで、国語の授業にも抵抗なく参加できるようになり、友達とのやり取りも増えてきたように感じます。学習面だけでなく、学校生活全体を豊かにする支援として有効だと感じています」などの声が寄せられたという。
「やさしい日本語」化ツールの無償提供は2027年3月末までの継続を決定。対象は学校・教育委員会・教育関係の団体。学校・教育施設ごとの直接申込みとなり、自治体や教育委員会による一括申込みではなく、各校(各拠点)より直接手続きを行う必要がある。個人での利用は受け付けていない。「やさしい日本語」化ツールお試し申込みフォームから申し込む。
ツールにかかる生成AIの利用料はこれまで企業や財団による助成金で賄ってきたが、2026年3月末をもって助成期間は終了した。2026年4月からの1年間はeboardの自己資金により引き続き無償で提供する。2027年4月以降も同ツールを全国の教育現場へ安定的に届け続けるため、eboardは寄付による支援の募集を開始した。
eboardは「2027年4月以降もツールを『社会の当たり前』として全国の教育現場へ安定的に届け続けるためには、法人の力だけでは限界があります。この活動を持続可能なものとして定着させるため、皆様のお力添えが必要です。すべての子供たちが等しく学べる環境をつくるため、プロジェクトの理念にご賛同いただける方は、ぜひ寄付によるご支援をご検討いただけますと幸いです」と協力を呼び掛けている。
◆「やさしい日本語」化ツールの無償提供
無償提供期間:2027年3月末まで
対象:学校・教育委員会・教育関係の団体
申込方法:学校・教育施設ごと「やさしい日本語」化ツールお試し申込みフォームから申し込む
※自治体や教育委員会による一括申込みではなく、各校(各拠点)より直接手続きを行う必要がある
※個人での利用は受け付けていない













