文部科学省は2025年3月25日、2024年度(令和6年度)「学術情報基盤実態調査」の結果を公表した。2023年度の大学図書館資料費は前年度比30億円増の748億円。紙媒体に係る経費が減少した一方、電子ジャーナルに係る経費は前年度比36億円増の390億円へと大きく増加した。
学術情報基盤実態調査は、大学の教育・研究活動を支える大学図書館やコンピュータ・ネットワーク環境の現状を明らかにし、その改善の基礎資料とする目的で、2005年度から毎年実施。2024年度は、国公私立816大学を対象にオンライン調査システムにより調査(回答率100%)した。調査基準日は「図書館経費・蔵書数等」が2024年3月31日、「学内LAN等」が5月1日。
2023年度の図書館資料費は前年度比30億円増の748億円。このうち、紙媒体の資料(図書と雑誌の合計)に係る経費は210億円で、前年度より11億円減少。一方、電子媒体の資料(電子ジャーナルと電子書籍の合計)に係る経費は前年度比36億円増の414億円となった。
内訳をみると、電子書籍は前年度とほぼ同水準の24億円にとどまったが、電子ジャーナルに係る経費が前年度比36億円増の390億円と大きく増加した。国外の出版社から購入した電子ジャーナルタイトル数は186万タイトル、国外における出版社以外は466万タイトルにのぼり、前年度と比べると計19万タイトル増加している。
自大学の研究成果などを、インターネット上で誰もが無料で閲覧可能な状態にするオープンアクセスについて定め、明文化した方針「オープンアクセスポリシー」を策定している大学は215大学(26.3%)で、前年度より44大学増加。策定率がもっとも多いのは、国立大学で61.6%(53大学)、ついで私立大学23.8%(150大学)、公立大学11.9%(12大学)であった。
学内ネットワーク(学内LAN)を有する816大学のうち、通信速度10Gbps以上の回線を整備している大学は388大学(47.5%)。対外接続を行っている814大学のうち、通信速度10Gbps以上の回線を整備している大学は365大学(44.8%)で、それぞれ前年度より増加。また、研究データの管理と利活用について定めた方針「研究データポリシー」を策定している大学も前年度比47大学増の258大学(31.6%)となった。
学術情報基盤実態調査は、「大学図書館編」と「コンピュータおよびネットワーク編」の2編で構成。前者は大学図書館の運営体制、蔵書数、運営経費、機関リポジトリ構築状況など、後者では大学の組織・運営体制、ネットワークの整備状況、教育、セキュリティ対策やクラウド運用状況などについて、設置区分や大学規模(学部数)別に集計している。
調査結果の概要は、文部科学省Webサイトに掲載。詳細をまとめた全文は、政府統計のポータルサイト「e-Stat」から見ることができる。