あべ文部科学大臣は2025年2月12日、発達障害のある児童生徒やその保護者に向けたメッセージを含む動画をSNSで発信したことを発表した。文部科学省が実施した調査によれば、小中学校において学習面や行動面で困難を示す児童生徒が8.8%、高等学校では2.2%に上ることが明らかになった。この結果を受け、特別な教育的支援が必要な児童生徒がすべての学級に在籍している可能性が示唆された。
発達障害があり通級による指導を受けている児童生徒は、2023年度時点で全体で20万人に達しているが、高等学校の生徒は約2,000人にとどまっている。このため、文部科学省は発達障害のある子供たちへの支援について、より多くの児童生徒や保護者に知ってもらうため、動画を作成し、SNSを通じて情報を発信することにした。あべ大臣は「発達障害のある子供たちの支援に全力を尽くしていきたい」と述べた。
また、文部科学省は教員の精神疾患に関する調査結果も発表した。教職員の精神疾患による病気休職者数が増加傾向にあることを受け、各教育委員会で把握している主な要因を調査した結果、児童生徒への指導に関することが26.5%、職場での対人関係が23.6%を占めていることがわかった。長時間勤務が主な要因であると回答した教職員は全体の0.8%にとどまった。
教員の休憩時間についても問題が指摘されている。文部科学省は、休憩時間を確保することが労働基準法第34条で義務付けられていることを踏まえ、各学校に対して休憩時間の確保を繰り返し指導している。しかし、教員の休憩時間が十分に確保されていない現状が続いているため、文部科学省は働き方改革や外部スタッフを含めた指導運営体制の充実を進める方針を示した。
さらに、学習指導要領の改定に向けて、子供たちの意見を反映させるための取組みも進められている。こども家庭庁の「子供若者意見プラス」を活用し、小学生から高校生を対象にオンラインで意見交換会を実施した。これにより集約された意見は、中央教育審議会での議論に活用される予定である。あべ大臣は「子供たちの思いを生かすことが重要」と述べ、子供たちの意見を反映した学習指導要領の改定を目指す考えを示した。
文部科学省は、発達障害のある子供たちへの支援や教員の精神疾患対策、学習指導要領の改定に向けた取り組みを進めており、今後も教育現場の改善に向けた努力を続けるとしている。