全国知事会は2024年11月22日、全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)の意義やあり方を都道府県知事に尋ねたアンケート結果を公開した。学力テスト結果を都道府県別で公表する現行制度に賛成する割合は53%と半数にとどまり、全国平均との差や順位が独り歩きしていることへの批判も寄せられた。
全国学力テストは、義務教育の機会均等とその水準の維持向上の観点から、全国的な児童生徒の学力や学習状況を把握・分析し、教育施策の成果と課題を検証し、その改善を図る目的で、文部科学省が小学6年生と中学3年生を対象に毎年実施している悉皆調査。今回のアンケート調査は、全国学力テストの意義やあり方について全国知事会が各都道府県知事を対象に実施したもの。調査時期は2024年9月、回答数は47都道府県。
全国学力テスト調査の目的については「果たされている」が70%(33人)、「どちらかといえば果たされている」が30%(14人)。学習指導の充実等への有用性については、「役立てられている」が70%(33人) 「どちらかといえば役立てられている」が30%(14人) 。目的と有用性があると判断されていることが明らかとなった。
都道府県に提供される調査結果において重視するデータは、「各教科の問題ごとの解答状況」98%(46人) 、「授業改善の取組(ICTの活用状況等)」98%(46人) 、「挑戦心、達成感、規範意識、自己有用感、幸福感等」96%(45人) 「学習に対する興味・関心や授業の理解度等」94%(44人) などで割合が高い。
CBT方式で実施することは「よいと考える」が81%(38人) 、「どちらでもない」が19%(9人) 。CBT方式は学校の負担軽減や分析のしやすさなど良い面がある一方、通信環境や操作スキルの差が回答状況(正答率)に影響する可能性が指摘された。
調査の実施頻度は 現行の「毎年実施」が74%(35人) 、「3年に1度実施」が11%(5人)。調査方法は、現行の「悉皆調査」が81%(38人) 、「CBTの状況を見て判断したい」が11%(5人)、そのほか「CBT化を工夫して悉皆で実施」「今後の調査の目的・方法等による」など。
調査の必要性については、現行通り「必要」が77%(36人) 「どちらかといえば必要」が11%(5人)と多くが必要と回答。一方、調査結果の公表方法については、現行の「都道府県・指定都市別の調査結果を公表」を支持する割合は53%(25人)と半数程度にとどまった。
調査結果は「全国の状況のみ公表」を支持する割合が30%(14人) 、そのほか「都道府県の序列化や児童生徒を学力面のみではかる風潮を助長しており検討がなされるべき」や「都市部と地方の教育資源の格差や家庭環境といったスタートラインを無視した単純比較がなされることで誤った認識を招きかねないため、原則非公表とすべき」など強く批判する意見も寄せられた。
アンケート結果には、調査で寄せられた要望や今後の課題・問題点なども掲載。結果の全文は、11月25日開催の令和6年全国知事会議の会議資料として、全国知事会のWebサイトで公開している。