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全国調査「生成AIの教育利用と意識」公開…仙台大

 仙台大学は2024年7月17日、学生と教員を対象に実施した「生成AIの教育利用状況と意識に関する全国調査」の報告書を公開した。生成AIを利用する高校生の50%が不正行為に該当する行為が判断できない、64%の学生がファクトチェック方法を知らないなど課題や問題が浮き彫りとなった。

教材・サービス その他
学生の生成AIの利用状況
  • 学生の生成AIの利用状況
  • 教員の生成AIの利用状況
  • 利用している生成AIのサービス
  • 生成AIの使用頻度
  • オプトアウトの設定経験
  • 生成AIの教育・学習上の効果と可能性
  • 生成AIによる不正行為に対する意識
  • 生成AIを使ったカンニングに対する意識

 仙台大学は2024年7月17日、学生と教員を対象に実施した「生成AIの教育利用状況と意識に関する全国調査」の報告書を公開した。生成AIを利用する高校生の50%が不正行為に該当する行為が判断できない、64%の学生がファクトチェック方法を知らないなど課題や問題が浮き彫りとなった。

 「生成AIの教育利用状況と意識に関する全国調査」は、全国の15歳(高校生相当)以上の生徒・学生と、教員(小中高校、専修学校、専門学校、大学、大学院、各種学校)を対象に実施したWebアンケート調査。調査期間は2024年3月21日~25日、有効回答数は6,939人。

 生成AIの利用状況は2024年3月末時点で、学生30.3%に対し、教員が19.3%と教員のほうが11ポイントほど低いことがわかった。利用サービスはいずれも約7割が、OpenAI ChatGPT3.5(無料版)で、ほかのサービスは2割以下とその使用に大きな開きがあった。使用回数は、教員・学生共に約6割が1週間に1回未満と回答。また、学生の6割弱は授業の課題やレポートの作成に生成AIを利用していることが明らかとなった。

 生成AIで入出力したデータはAIモデルの学習に利用されるが、ユーザーがオプトアウトの手続きを行うことで、データを学習させない設定を行うことができる。一方、今回の調査では生成AIを利用する学生・教員のオプトアウトの設定経験は2割弱にとどまり、学生の46.8%・教員の25.2%がオプトアウトについて「よくわからない」と回答した。

 教育・学習へのAI利用において「可能性が広がる」「効果が上がる」と肯定的にとらえている傾向は学生で高く、教員は「どちらともいえない」との回答が学生を上回る割合となった。生成AIを使うことで生ずるかもしれない不正行為に対して注意する必要性があると認識しているのは学生・教員共に8割弱。一方で学生がカンニングしてしまうのではないかという不安は、学生よりも教員のほうが強く感じていることがわかった。

 大学・大学院では「生成AIの使用が疑われる不正な提出」が生成AIに関連する主要な問題にあがり、大学・大学院教員の8割は不正行為をさせないための取組みが必要だと回答。また、教員の約7割は学校・大学において生成AIに関するガイドラインの必要性を感じていた。

 生成AIが出力した結果を課題やレポートにコピー&ペーストしてそのまま提出した経験がある学生は約25%。生成AIを利用する高校生の5割は、どのような行為が不正行為にあたるかを判断できておらず、学生の64%が生成AIが書いた内容が正しいかを確かめるためのファクトチェックの方法を知らないことが明らかとなった。

 また、多くの生成AIを提供するサービスプロバイダーが利用規約に定めている年齢制限「13歳以上の利用」と利用者が未成年の場合の「保護者の同意」については、学生の54%が「知らない」と回答した。

 仙台大学は、調査結果から多くの課題が高校生において顕著に表れていると指摘。各学校・大学等で策定したガイドラインに連動した倫理教育を行い、不正行為などのリスクに関する知識や適切な利用・引用に関するポジティブな活用方法など、早急な教育的支援の必要性について言及した。

《川端珠紀》

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