保育施設でペーパーレス監査実施が6割を超え急拡大していることが2024年5月22日、コドモンの調査レポートから明らかとなった。ペーパーレス監査の実現には、施設側、行政側が相互にペーパーレス監査の希望を打診することがポイントだという。
調査は2024年2月20日~3月1日、コドモンを利用する全国の保育施設を対象に、監査(立入調査)におけるDX状況について、メール案内およびWeb回答方式でアンケートを実施した。有効回答数は224件。
保育施設にペーパーレス(ICTシステムの画面確認)監査を希望するかを尋ねた設問では、全体の96.4%がペーパーレス監査を希望。「書類での監査を希望する」割合はわずか3.6%にとどまり、2020年の調査開始以来、もっとも低くくなった。背景には「データで管理している書類を印刷することを負担に感じる」という声が多いようだ。
コドモンの画面確認で監査を受けた(一部でも可)ことがあるかを尋ねると、61.2%が「ある」と回答。前年(30.6%)の2倍に増えていることから、ペーパーレス監査を実施できる自治体が増加していることが明らかになった。
監査をコドモンの画面で受けることができたきっかけは、「施設側から監査担当者に対しペーパーレス監査を打診した」といった施設からの打診が46.7%、自治体からの打診が46.0%。「施設側からの打診」は、前年と比べ18.2ポイントと大幅に増加しており、ペーパーレス監査の実現につながる可能性が高いことが示唆された。
コドモンの画面での監査が可能となったのは、「今年度から」「昨年度から」をあわせ55.5%と高く、ペーパーレス監査の普及が急速に進んでいるようすがうかがえる。監査対応への負担は、66.4%がペーパーレス監査によって「軽減した」と回答する一方、32.1%は「変わらない」と回答。事前準備の負担解消は今後の課題といえそうだ。
「実地検査」は保育所の運営が適正に行われているかどうかを確かめるため、年に1回以上、自治体が行うよう義務付けられているもの。2024年4月1日に施行された現行の児童福祉法施行令では、実地検査を原則としつつも「天災その他やむを得ない事由」などにより、書面やリモートによる非対面での監査が実施できるようになった(児童福祉法施行令 第七十四条)。
しかし、今回の調査により、自治体による指導監査が施設に足を運ばないやり方でも可能になったことを「知っている」施設は20.5%にとどまることが明らかとなっている。また実際の監査は「自治体職員が施設に足を運んで監査が行われた(行われる予定)」との回答が82.6%にのぼり、書類やリモートによる非対面の監査実施は1割以下だった。