東北大学は2024年3月29日、国立大学で初めて生成AI応対チャットボットを導入したことを公表した。利用者からの複雑な問合せにも、適切に応対できるという。
東北大学では、学内公募の若手職員による「業務のDX推進プロジェクト・チーム」が中心となり、学内の各種業務改革を推進してきた。2021年3月は、多言語対応チャットボットを導入。2023年5月には、全国の大学に先駆けてChatGPTを導入し、各種業務の高度化・効率化を加速させてきた。
その中で、生成AIの高い言語理解能力をチャットボットに活用することで、多様な言語表現にも適切に応対でき、従来のチャットボットよりも、より人間らしい対話応対が可能であることがわかったという。そこで2024年4月、生成AIをホームページなどで運用する14のチャットボットに実装。生成AIを活用したチャットボットを導入し、より利便性の高いオンライン窓口の実現を目指すとしている。
従来のチャットボットは、利用者からの質問にあらかじめ想定された回答を提示する方式のため、想定外の質問表現があった場合に適切な回答ができないこともあった。また、管理面では日々更新される膨大なデータから想定質問を網羅的に列挙し、一対の質問と回答群からなる構造化されたデータを生成する必要があり、運用コストが増大していた。
生成AIをチャットボットに活用することで、より人間らしく多様な言語表現に応対できることに加え、回答では事前登録されたデータから必要な情報を生成AIが自ら検索し回答を生成するため、質問と回答からなる構造化されたデータを作成する必要がなく、運用コストの大幅な低減が期待されるという。
今後は、導入の初期段階として、これまでのチャットボットに登録されていたデータを活用し、生成AIの自然言語理解を生かしつつ安定的な稼働を目指す。また将来的には、利用者の許諾を得ることを前提に、各利用者固有情報に基づく個別最適化された回答を提供するパートナーとなるチャットボットを構築・提供したいとしている。