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生成AI使用15%未満、ゲーム課金は増加…東京都ネット調査

 東京都教育委員会は2024年3月27日、2023年度(令和5年度)「児童・生徒のインターネット利用状況調査」の報告書を公表した。生成AIを使ったことがある児童生徒は14.7%、もっとも多い高校生でも21.7%にとどまった。ゲーム課金は27.4%が経験ありと回答し、中高生と特別支援学校生で増加傾向にある。

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1日のインターネット利用時間(学習)(学校種別)
  • 1日のインターネット利用時間(学習)(学校種別)
  • 1日のインターネット利用時間(動画)(学校種別)
  • インターネットを使用した学習の内容(学校種別)
  • 生成AIの利用状況(学校種別)
  • ゲームでの課金の有無(学校種別)
  • ゲームでの課金金額(学校種別)
  • インターネット利用時のトラブルや嫌な思いの経験の有無(学校種別)
  • トラブルや嫌な思いをした経験の内容(学校種別)

 東京都教育委員会は2024年3月27日、2023年度(令和5年度)「児童・生徒のインターネット利用状況調査」の報告書を公表した。生成AIを使ったことがある児童生徒は14.7%、もっとも多い高校生でも21.7%にとどまった。ゲーム課金は27.4%が経験ありと回答し、中高生と特別支援学校生で増加傾向にある。

 児童・生徒のインターネット利用状況調査は、都内公立学校の児童・生徒のインターネット利用に関わる現状を明らかにし、有害情報から子供を守るための情報教育の推進などを目的に、毎年実施しているもの。2023年度は、区市町村立の小学校44校・中学校26校、都立中等教育学校2校、都立高校15校、都立特別支援学校15校の計102校を対象に実施。対象人数は、都内公立学校児童・生徒の約1%にあたる約1万2,000人と、調査対象校の管理職102人。今回より保護者への調査は廃止している。

 インターネットを利用して家で動画視聴する時間は、全体では「1時間程度」がもっとも多く32.4%。学校種別では、小学校・中学校・特別支援学校で「1時間程度」がもっとも多く、高校では「2時間程度」が25.5%と最多となった。一方、4時間程度が5.8%、6時間超えが5.0%と、学校種を問わず長時間動画視聴をしている児童生徒も一定数みられる。

 インターネットを利用して学習する時間は、全校種で「しない・ほとんどしない」がおよそ半数を占めもっとも多い。ついで「1時間程度」が多く、学校種別でみると、小学校32.8%、中学校39.2%、高校32.1%、特別支援学校21.7%が1時間程度インターネットを利用した学習をしていると回答した。

 今回新たな質問項目として追加された、生成AIの利用状況については、全体の85.3%が使ったことがないと回答。使用経験のある児童生徒は14.7%にとどまった。使用経験は学年が上がるにつれ増えており、小学校11.7%、中学校19.6%、高校21.7%。特別支援学校は13.3%だった。

 スマートフォンやゲーム機でのゲーム課金は、児童生徒の27.4%が経験ありと回答。小学校を除き、前年度より増加傾向にあるという。このうち、調査対象期間の4月から11月まで約8か月の課金額の合計は、「1,000円~2,999円」がもっとも多く21.1%。全体では5,000円未満が半数を占めた。一方で、高校では「1万円~4万9,999円」が19.6%と最多に。さらに、5万円~10万円未満が5.3%、10万円以上が7.2%と、1万円以上の課金をした高校生の割合は32.1%にのぼった。前年度の結果(27.0%)と比べ、高校生は課金額も増加傾向にある。

 インターネット利用時にトラブルや嫌な思いをした児童生徒は全体で7.6%。その内容は、「メールやSNSに書き込んだ文章が原因で友達とけんかになった」49.2%、「グループ内や、誰もが見られるところで、自分の悪口や個人情報を書かれた」26.5%、「無料通話アプリなどのグループで仲間外れにされたり、勝手に退会させられたりした」19.5%などがあがった。

 トラブル時の対応として、小中高生の6割以上が「がまんした」と回答。家族に相談した児童生徒は29.6%いたものの、学校への相談は15%前後、警察や専門の相談窓口への相談は5%前後となった。

 報告書の全文は、情報教育ポータルサイト「とうきょうの情報教育」に掲載されている。東京都教育委員会では、児童・生徒の情報活用能力を育成するため、「とうきょうの情報教育」に補助教材「GIGAワークブックとうきょう」や「考えよう!デジタルリテラシーについて」などの資料も公開。学校現場での効果的な活用に向けて引き続き取り組んでいくとしている。

《畑山望》

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