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【共通テスト2024】「数学I・A、数学II・B」okkeによる塾向け総評

 2024年度(令和6年度)大学入学共通テスト(旧センター試験)が2024年1月13日と14日に実施された。テスト作成ツール「Dr.okke」を提供するokkeより、塾の先生向けの総評の提供を受け、紹介する。

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 2024年度(令和6年度)大学入学共通テストが2024年1月13日と14日に実施された。テスト作成ツール「Dr.okke」を提供するokkeより、数学の試験について塾の先生向け総評の提供を受け、紹介する。

2024年の本試験を解いた所感


数学1A

 形式としては昨年までの共通テストを踏襲し、日常の事象(斜面への電柱の影、マラソン… etc)を題材とした問題や会話文を含む問題が出題されました。

 例年どおり、大問の初めのほうには得点しやすい設問も多く、また今年の第2問[2]のデータの分析は量も難易度も比較的穏やかであった一方で、第1問[2]の三角比の後半(斜面上での電柱の影の長さ)や、第2問[1]の二次関数(点の移動)では、誘導があまりなく、その場で自力で立式や場合分けから行う必要があるなど、必答問題の一部で高い思考力が問われました

 選択問題(第3問の確率、第4問の整数、第5問の図形)においては、どの選択問題も誘導が親切で、問われている内容を理解できれば解き進められる問題ではありましたが、「そろう」という言葉の定義の把握(第3問)や、n進法タイマー(第4問)など設定が凝っており、問われている内容を把握するのに時間がかかるため、必答問題でかなり時間が取られた後に取り組んだものの、焦ってしまい思うように得点できなかった受験生も多かったと思います。

 以上のことを踏まえ、高得点を狙うのはなかなか難しいセットだったかと思いますが、読む分量の多さや、思考力を問う傾向は例年と変わりなく、昨年と同様うまく誘導に乗ることで計算を省ける問題などもあったため、昨年並みの難易度と感じました。

数学2B

 こちらも昨年までの共通テストを一部踏襲し、会話文の混じった問題が出題されたものの、今年の数学2Bでは日常の事象を題材とした問題はあまり出題されず、第3問以外は抽象的な問題が多く出題されました。

 第4問の数列の前半や第5問のベクトルの前半など、例年どおり、やることが明確で得点しやすい設問もある一方で、第2問の積分や第4問の数列の後半では、問題の抽象度が高く、「何をやっているのか」をその場で把握する高度な力が問われていたり、第5問のベクトルの後半(2直線の最短距離)でも、うまく工夫しないと計算量が増えてしまったりと、試験本番では解き切りにくく、高得点が難しいセットだった印象です。

 また、第3問の統計分野も、来年以降の新課程の必修化を見据えたものなのか、期待値を計算するうえでの確率の計算が若干厳しく、難易度が上がっていたように感じます。今後、共通テストの統計分野の問題を攻略するうえでは、確率統計の考え方の正しい理解に加え、数学Aの確率分野の応用力も必要になりそうです。

 このように、昨年と比べ思考力を問う傾向に変わりはないものの、抽象的な問題が多いセットであったため、慣れていないととっつきにくい問題が多く、全体として昨年に比べると若干難化と感じました。

センター試験と比較した共通テストの総評

 数学IA・数学IIBともに、2021年に共通テストが開始して以降、「思考力」が問われる傾向には変わりはありません。センター試験と比較して、共通テストでのいわゆる思考力の問い方としては、おもに日常の事象を設定として用いて、数学の考え方をそこに応用させる形式や、与えられた指針や太郎くんと花子さんの会話を手がかりに、うまくその発想に乗れるかを問う形式があげられます。

 このような設定や誘導の説明のための文章が必要となった結果、センター試験と比べて問題のページ数が大幅に増えており、高得点を狙うには相当な読解のスピードも求められる試験となっています(数学1A・数学2Bともに、センター試験最終期:20ページ弱 → 共通テスト:30ページ弱)。

 また、出題範囲については、各大問のテーマはある程度決まっているものの、これまでの共通テストを見ても内容には偏りがなく、数学IA・数学IIBともに範囲から満遍なく出題されている印象です。共通テストになり、分野融合問題の出題も増えています

学習塾での対策法

 設定や誘導を理解してしまえば、あとは普段の問題集などで出てくる問題に帰着することが多いので、まずはしっかりと各単元の中身を定着させることが最優先です。そのうえで、目標点を取るには、共通テストの形式に慣れていく期間を十分にとることが必要となっています。特に、長いリード文の読解や誘導に乗るという思考の流れは、共通テストに特有なものであるため慣れが必要です。そのため、特に現役生については、各単元の定着をいかに早く終わらせられるかが1つのカギとなります。

 また、共通テストが求める思考力を身に付けるには、「この問題はこの公式」というように、学校のテストを一夜漬けの暗記で乗り切るような学習ではなく、普段から、「なぜこの問題でこの公式を使うのか」「なぜこの解き方だとうまくいかないのか」といったことを妥協せず考えていく学習を積み重ねることが重要で、そうするとスムーズに共通テストの形式にも慣れていけると思います。

 思考力は一朝一夕では身に付かず、小手先のテクニックでは太刀打ちできない試験となっているため、時間はかかりますが普段の学習方法が重要となってくるでしょう。


Dr.okkeの紹介


 共通テストの数学では、各単元の内容の着実な定着や、問題の解説との向き合い方が非常に重要になってきます。学習塾の先生方から「生徒の『(問題集を)やった』『わかった』という状態と、『自分で解ける』という状態の間に見えないギャップがあり、各単元が定着しているかの判断が難しい」「問題集によっては、解説を読んでも解き方の背景まで詳しく理解できず、結局丸暗記で乗り切る勉強になってしまっている」といった声をいただくことが多くあります。

 okkeでは新しいテスト作成ツール「Dr.okke」を提供しております。現在、公式Webサイトで無料お試しを受け付けています。
《okke》

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