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学校の働き方改革「学校徴収金」「授業準備」改善…文科省

 文部科学省は2023年12月27日、2023年度教育委員会における学校の働き方改革のための取組状況調査結果を公表した。基本的には学校以外が担うべきとされる「登下校時の対応」「学校徴収金の徴収・管理」、教師の業務だが負担軽減が可能な「授業準備」の3項目は、前年度から5ポイント以上伸び、業務の役割分担・適正化で改善傾向がみられた。

教育行政 文部科学省
「基本的には学校以外が担うべき業務」の取組状況
  • 「基本的には学校以外が担うべき業務」の取組状況
  • 「学校の業務だが、必ずしも教師が担う必要のない業務」の取組状況
  • 「教師の業務だが、負担軽減が可能な業務」の取組状況
  • 特に優先的に取り組む項目
  • 特に優先的に取り組む項目
  • 授業時数の点検
  • 学校行事の精選・重点化
  • 学校宛ての調査や通知・事務連絡の把握

 文部科学省は2023年12月27日、2023年度教育委員会における学校の働き方改革のための取組状況調査結果を公表した。基本的には学校以外が担うべきとされる「登下校時の対応」「学校徴収金の徴収・管理」、教師の業務だが負担軽減が可能な「授業準備」の3項目は、前年度から5ポイント以上伸び、業務の役割分担・適正化で改善傾向がみられた。

 「教育委員会における学校の働き方改革のための取組状況調査」は、教育委員会や学校における働き方改革の進捗状況を明確にし、市区町村別の公表や取組事例の展開を通じて、働き方改革の取組みを促すことを目的に2016年度から実施している。

 2023年度は「学校・教師が担う業務に係る3分類」のフォローアップに加え、2023年8月の中央教育審議会特別部会緊急提言でフォローアップの必要性が指摘された事項を中心に調査した。調査基準日は2023年10月1日時点。全1,795教育委員会(47都道府県、20指定都市、1,728市区町村・事務組合等)が回答した。

 「学校・教師が担う業務に係る3分類」に基づく取組状況では、14項目のうち、基本的には学校以外が担うべきとされる「登下校時は学校以外の主体を中心に対応している」(66.1%)、「学校徴収金は、公会計化または教師が関与しない方法で徴収・管理または地方公共団体や教育委員会で徴収・管理などを行っている」(45.3%)、教師の業務だが負担軽減が可能な「授業準備について教師をサポートする支援スタッフの参画を図っている」(74.9%)の3項目が、前年度から5ポイント以上伸びた。

 特に「学校徴収金」と「授業準備」は、都道府県・政令市・市区町村のすべての主体で5ポイント以上伸びており、文部科学省は「改善の機運が高まっているようすがみられる」と分析している。

 中央教育審議会の緊急提言を踏まえ、教育委員会が特に優先的に取り組むと回答した項目は、都道府県・政令市・市区町村ともに「部活動」が最上位。このほか、「調査・統計などへの回答」「学習評価や成績処理」「学校徴収金の徴収・管理」「支援が必要な児童生徒・家庭への対応」が、3割超の回答率となった。

 授業時数の点検については、都道府県・政令市はすべての教育委員会が「すでに実施したまたは実施中」「実施に向けて検討中」としたが、市区町村では14.4%の教育委員会が「特に取り組んでいない、取り組む予定はない」と回答した。

 学校行事の精選・重点化や準備の簡素化、省力化を図るような指導・助言についても、都道府県・政令市はすべての教育委員会が「すでに実施したまたは実施中」「実施に向けて検討中」とした一方、市区町村の教育委員会は7.0%が「特に取り組んでいない、取り組む予定はない」とした。

 教育委員会から学校宛ての調査や通知・事務連絡の発出を把握している教育委員会は、都道府県・政令市が7割前後、市区町村は4割弱。IC活用やタイムカードなどの客観的な方法で在校等時間を把握している割合は、都道府県100%、政令市100%、市区町村88.0%だった。

 調査結果を受けて文部科学省は、教師が教師でなければできないことに全力投球できる環境を整備するため、引き続き、総合的かつ着実な取組みを進めると説明。学校・教師が担ってきた業務に係る役割分担・適正化が一層積極的に進むよう、各教育委員会にさらなる取組みを促すとしている。

 調査結果の詳細は、文部科学省Webサイトで公開しており、働き方改革推進のための教育委員会や学校の具体的な事例なども紹介している。

《奥山直美》

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