文部科学省は2023年9月13日、2022年度(令和4年度)学校における教育の情報化の実態等に関する調査結果の速報値を公表した。学習者用デジタル教科書整備率は、前年度の36.1%から87.4%に急増した。義務教育学校が100%、小中学校が99.1%であった一方、高等学校は11.1%にとどまった。
調査項目は、全国の公立学校(小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校)を対象とした「学校におけるICT環境の整備状況等」と、全国の公立学校の授業を担当している全教員を対象とした「教員のICT活用指導力」。調査基準日は2023年3月1日。
「学校におけるICT環境の整備状況等」によると、学習者用デジタル教科書整備率は87.4%。前年度の36.1%から急増した。学校種別では、義務教育学校100.0%、小学校99.1%、中学校99.1%、中等教育学校82.9%、特別支援学校33.2%、高等学校11.1%。高等学校や特別支援学校の低さが目立った。
指導者用デジタル教科書整備率は、前年度比5.9ポイント増の87.3%。学校種別では、義務教育学校97.7%、中学校95.1%、小学校94.3%、中等教育学校91.4%、高等学校47.1%、特別支援学校31.9%だった。
教務系(成績処理、欠席管理、時数管理など)、保健系(健康診断票、保健室来室管理など)、学籍系(指導要録など)、学校事務系などを統合した機能を有する「統合型校務支援システム」の整備率は86.3%。右肩上がりで増えており、前年度の81.0%から5.3ポイント上昇した。
このほか、教育用コンピュータ1台あたりの児童生徒数は前年度と同じ0.9人、普通教室の無線LAN整備率は前年度比0.3ポイント増の95.1%、インターネット接続率(30Mbps以上)は前年度比0.1ポイント増の99.5%、普通教室の大型提示装置(プロジェクタ、デジタルテレビ、電子黒板)整備率は前年度比3.8ポイント増の87.4%、教員の校務用コンピュータ整備率は前年度比1.3ポイント増の126.7%であった。
一方、「教員のICT活用指導力」では、ICT活用指導力を4つの大項目に分類。各項目の平均値は、「教材研究・指導の準備・評価・校務などにICTを活用する能力」88.5%(前年度87.5%)、「授業にICTを活用して指導する能力」78.1%(前年度75.3%)、「児童生徒のICT活用を指導する能力」79.6%(前年度77.3%)、「情報活用の基盤となる知識や態度について指導する能力」86.9%(前年度86.0%)。いずれも前年度より向上した。
各項目の状況を都道府県別にみると、4項目とも「愛媛県」が最高値、「島根県」が最低値(「教材研究・指導の準備・評価・校務等にICTを活用する能力」では滋賀県と同率)となった。
2022年度中にICT活用指導力の各項目に関する研修を受講した教員の割合は、平均72.8%。前年度の75.8%から3ポイント下降した。都道府県別では、「和歌山県」94.8%が最高値、「神奈川県」「愛知県」59.0%が最低値だった。
文部科学省のWebサイトでは、市区町村(設置者)別のICT環境整備状況なども公開している。