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【読者プレゼント】子供のストレスを癒す「リラックス学級レク75」…鈴木邦明先生

 リシードの人気連載「クレーム対応Q&A」「相談対応Q&A」の著者である鈴木邦明氏が「子どもの心と体のストレスを緩和する リラックス学級レク75」を出版。出版のきっかけやコロナ禍における子供のリラックス方法、近年の教育環境の変化等について、鈴木先生に話を聞いた。

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【読者プレゼント】子供のストレスを癒す「リラックス学級レク75」鈴木邦明先生
  • 【読者プレゼント】子供のストレスを癒す「リラックス学級レク75」鈴木邦明先生
  • 帝京平成大学人文社会学部児童学科講師・鈴木邦明氏(画像はオンライン取材時のようす)
  • 帝京平成大学人文社会学部児童学科講師・鈴木邦明氏
  • 子どもの心と体のストレスを緩和する リラックス学級レク75

 リシードの人気連載「クレーム対応Q&A」「相談対応Q&A」の著者である帝京平成大学人文社会学部児童学科講師・鈴木邦明氏と、旭川大学短期大学部幼児教育学科准教授・赤堀達也氏の著書「子どもの心と体のストレスを緩和する リラックス学級レク75」が明治図書より出版された。出版のきっかけやコロナ禍における子供のリラックス方法、近年の教育環境の変化等について、鈴木先生に話を聞いた。

帝京平成大学人文社会学部児童学科講師・鈴木邦明氏(画像はオンライン取材時のようす)

--「リラックス学級レク75」ついて、出版のきっかけや書籍の特徴を教えてください。

 新型コロナウイルスの影響で、2020年春に日本全国の学校が休校となり、小学校教員時代の元同僚からも「学校が大変なことになっている」という声を聞いていました。大学で教員養成に携わっており、「レクリエーション実技」等の授業を行っている自分の知見・経験を生かして、コロナ禍で苦労している教育現場の役に立ちたいと考え、2020年の6月ごろに最初の企画を明治図書の編集者に送ったのがきっかけです。

 コロナ禍で三密を避けることが推奨されはじめたときに、ソーシャルディスタンスをとりながらできることや、オンラインでもできることを書籍としてまとめ、2020年12月に第1弾「オンライン、ソーシャルディスタンスでできる 学級あそび&授業アイスブレイク」を出版しました。

 第1弾を執筆した2020年頃は、身体が触れあう「鬼ごっこ」等が悪者にされてしまっていましたが、第1弾の書籍が増刷となった2021年頃には、新型コロナとの付き合い方がだんだん見えてきました。そんな中で、コロナ禍で体力が落ちたというだけではなく、子供の関わりの部分にも課題があるのではないかと考え、第2弾として、子供の体と心をレクリエーションで解決する事例を本書「リラックス学級レク75」で紹介することにしたのです。

 共著の赤堀先生と私だけでは幼児体育に偏ってしまうので、ダンスや水泳といった得意分野をもったさまざまな人に協力してもらって事例を集めました。精神性や社会性、新型コロナでどんな負荷がかかっているのかを切り口に、学校で何かできないかということを出しあい、整理してまとめています。このようなレクリエーションの本はこれまでにも多数出版されていますが、おもに「身体性」という体を動かすという部分が着目されてきました。今回出版した書籍ではそれ以外の、友達と関わる「社会性」の部分や、本人が楽しむ「精神性」の部分疲れた体を癒す部分を特に意識して執筆しました。

--書籍では75の事例が紹介されていますが、特にお勧めの事例はありますか。

 新型コロナの流行で一気に進められたGIGAスクール構想により、学校でタブレットやPCを使うようになりましたが、子供の視力が下がったり、肩がこるようになったりと、大人が感じるような身体的疲労を訴える子供が増えました。これには、昔からある「紙鉄砲」が有効です。紙を折って紙鉄砲を作り、思いっきり振って「パン」と鳴らす遊びです。大きな音を鳴らそうとして何度も腕を振り回し、楽しみながら肩の筋肉を動かせる。これは身体性を育む事例です。

 他の事例もそうですが、今までにあった事例を再定義して、コロナ禍の学校でもできるようにアレンジしたものを多く収録しています。他にも、たとえば4月の新学期は子供たちが緊張しているので、緊張を解きほぐす「自己紹介じゃんけん列車」がお勧めです。じゃんけんをして負けた人が勝った人の後ろにつくのですが、そこでじゃんけんをする前に自己紹介を入れます。昔ながらの「じゃんけん列車」と自己紹介を合わせた、社会性を育む事例です。何度も名前を言うのでお互いの名前を覚えますし、好きなものや趣味も知ることができ、共通項が見えてきます。こういったレクリエーションが新しい集団の中でパイプ役になります。

--書籍や「クレーム対応Q&A」「相談対応Q&A」では、鈴木先生の豊富な経験が生かされていますね。鈴木先生が教員を志したきっかけや教員生活について教えてください。

 実は、最初から教員を志していたのではありませんでした。大学の教育学部に入った当初は、テレビの教育番組作りが面白そうだと思って大学生活を送っていました。しかし、大学3・4年生のとき、教育実習に行ってみたら思っていた以上に面白かったので、教員採用試験を受けたのです。教育実習でお世話になった先生が、それはもう本当に楽しそうにやっているのを見て「教員って良いな」と感じました。

 大学卒業後、神奈川県横浜市の小学校に採用されました。私が教員になった当時は採用が少なく、その学校では6年ぶりの初任だったということもあり、同僚からも保護者の方々からも本当にかわいがってもらいました。1・2年目は遊んでいるような気持ちで楽しく働いていました。これは、多くの先生方や子供たち、保護者の方々に支えられたおかげで最終的にうまくいったのだろうと思います。

 もちろん、うまくいかなかったことも山ほどあります。遠足で1人の子供が失踪して必死に探し回ったことや、子供と一緒にサッカーをしていてケガさせてしまったこともありました。いろいろなことがある中で、失敗も楽しいことも経験しながら、小学校教員を22年間やってきました。これらの経験がリシードの連載「クレームQ&A」「相談対応Q&A」や書籍の執筆にも生きています。

 現在、私は大学で講師をしているのですが、「うまくいった話」よりも「うまくいかなかった話」のほうが、これから現場に出る人にはとても役に立つと思っています。だから、自分の失敗談もできるだけ学生に伝えるようにしています。

 教職を目指してくれている人たちに自分の経験を伝えていきたいと思っているもののひとつが「レクリエーション」です。私は「レクリエーション実技」「レクリエーション論」の授業を受け持っており、後者では、レクリエーションの理論を学級経営に絡めながら伝えています。レクリエーションは学級経営につながるものだと思います。学級経営は教科ではありませんが、そこができていないと何をやっても崩れてしまうので、大事にしています。

 そして、もうひとつがリシードで連載している「クレーム対応Q&A」「相談対応Q&A」です。保護者からのクレームや相談は、大事にしなければ学級経営がうまくいかなくなってしまいます。残念ながら教員養成の授業では「保護者対応」を学ぶことはほとんどありません。私はできる限り保護者との関わりの話を学生たちに伝え、教育現場で生かしてもらえたらと思っています。クレームはマイナスの面ばかりでなく、改善のヒントにもなります。

--22年間の教員生活と、その後の講師としての活動の中で、子供を取り巻く環境が変わってきていると感じることはありますか。

 教員生活の前半は神奈川県横浜市、後半は埼玉県深谷市と勤務地が変わったので、都会と郊外で状況は違いましたが、それを加味しても、後半になればなるほどデジタルメディアが入り込んでくることの影響が大きくなってきたと感じています。具体的には、子供の外遊びの回数が減ったり、外遊びといっても携帯ゲーム機を持って公園に集まって遊んだりと、体を動かさなくなっているのです。

 40年ほど前に東京学芸大学の先生が調査した結果では、当時の子供は、1日に2万5千歩くらい歩いていたそうです。ところが、20年ほど前の山梨大学の先生の調査結果では約1万5千歩と、歩数が減っていることがわかりました。歩くだけが運動量ではありませんが、目安にはなります。10年ほど前に私が調べたところ、学校へ来てから帰るまで、学内で850歩しか歩かない児童もいました。そういう子が家に帰って体を動かすことは考えにくい。子供だけでなく、社会全体が体を動かさなくなっています。

 子供の運動量を増やすために、学校では無理やり体育をさせることもできます。体力テストの点数が全国平均よりも低いからと、点数アップに向けて全校体育(業間体育・業前体育)をする取組みもあります。1時間目の前の朝の時間や休み時間等に全校で集まり、音楽に合わせ5分間走る「5分間走」をすると、持久走の点数は上がります。しかし、それでは運動嫌いを作ってしまうこともあるでしょうし、子供時代に運動嫌いだった子は、大人になってからも運動をしないというデータもあります。大人になってから運動しないということは、生涯の健康や医療費、寿命にまで影響を及ぼすことが考えられます。つまり、「子供時代の運動への関わりがその人の生涯に影響を与える」ということです。

 無理やり体を動かすように促す体育は絶対に避けたいと私は思っています。子供たちが楽しく体を動かせるよう、学校の体育やレクリエーションの質を上げることを意識し、さまざまなところで訴えてきました。本来、楽しく遊んだり仲良く遊んだりすることを幼児期や小学校低学年くらいまでに経験するべきところを、コロナ禍でできないままになってしまうことを危惧しています。

--最後に、現場の教職員や若い教員、教員を志す学生へ、一言お願いします。

 コロナ禍で苦しい環境に置かれている子供たちもいます。書籍「リラックス学級レク75」「学級あそび&授業アイスブレイク」をきっかけに子供たちの笑顔が増えて、子供たちの笑顔が増えることで教師の笑顔が増えてくれたら嬉しいです。体を動かしているとき、子供は無邪気に良い顔をします。こういうレクリエーションで体を動かしているときは、もやもやしたものが解消される効果もあります。これが日常生活の質を上げることにもつながっていくでしょうし、人間関係をより良くしていってくれたら幸いです。

「リラックス学級レク75」読者プレゼント

 「子どもの心と体のストレスを緩和する リラックス学級レク75」を抽選で2名にプレゼントする。

 鈴木邦明氏と赤堀達也氏による著書「子どもの心と体のストレスを緩和する リラックス学級レク75」は、ちょっとした空き時間や授業前後に取り組める子供たちのための「ストレス緩和」のあそび75事例を掲載。2020年に発売した書籍「オンライン、ソーシャルディスタンスでできる 学級あそび&授業アイスブレイク」の続編となる。

  • 応募方法:下記のボタンより応募する

  • 応募締切:2022年9月23日(金)※応募は締め切りました。

  • 当選発表:商品の発送をもってかえさせていただきます

※応募にはリシード メンバーズ(リシード メンバーズとは)への登録(名前とメールアドレス)が必要です(登録手順)。ご登録のうえログインし、下記「申込みフォームへ」ボタンをクリックしてお申し込みください。

子どもの心と体のストレスを緩和する リラックス学級レク75

  • 著者:鈴木邦明・赤堀達也

  • 刊行:2022年7月22日(金)

  • 対象:小学校・中学校

  • 仕様:A5判 176頁

  • <コンテンツ紹介>

  • Chapter1 現代の子どもに必要なリラックス学級レクって?

  • Chapter2 疲れた眼や体をほぐす!リラックス学級レク20

  • Chapter3 授業への集中を高める!リラックス学級レク30

  • Chapter4 緊張をほぐす!リラックス学級レク19

  • Chapter5 自分の良いところに気づく!リラックス学級レク6

《工藤めぐみ》

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