1人1台端末が日常的に利用されている
学校ではタブレット/PCを活用した授業が一般的となってきています。そういった中でこれまでは発生しなかったトラブルも発生しています。
私は大学で教員養成に携わっています。その関係で学生が教育実習をしている小学校を訪れます。年に5~6校の小学校を訪れ、学生(教育実習生)の授業を見ます。2022年度もすでに4つの小学校を訪れたのですが、多くの授業でタブレット/PCを使用していました。2021年度までは、授業を見に行っても授業の中でタブレット/PCはほとんど使われていなかったと思います。今年度になり、タブレット/PCが普通の文房具のように日常的に使われてきているのだと思います。
新型コロナウイルスの流行により「GIGAスクール構想」の1人1台端末の整備が前倒しになりました。すでにほとんどの自治体で配布が済み、現在は、より良い活用法はどういったものなのかということが課題となっています。
そういった状況において、タブレット/PCで何らかのトラブルが発生することがあります。「トラブル」と言ってもさまざまなトラブルが考えられます。トラブルの種類によって対応も変わってきます。代表的なものは「タブレット/PCが壊れた」「ログインできない」「ネットいじめにあった」等です。
故障時の費用負担は?
「タブレット/PCが壊れた」というケースは、壊れ方にもよりますが、修理を依頼することが多いです。学校にある予備機等を修理から戻ってくるまでの代替え機として使用していくことが多いでしょう。この場合、費用負担をどこがするのかという問題も生じます。「状況によっては家庭の自己負担で修理をすることもある」という旨のお知らせがはじめに配られている自治体もあります。修理の金額は数百円というものではなく、それなりの金額になってしまう場合が多いです。通常の学校の予算で対応しようとするとすぐに金額的に無理が生じてしまいます。どういった対応が望ましいのかということを学校や教育委員会で相談をしておくと良いでしょう。
パスワードは適切に管理する
「ログインできない」というケースも考えられます。初期パスワードは学校が把握していますが、変更した場合、学校は把握できていません。学校で対応できない場合は、完全にリセットをするということも有り得ます。これまでの学びの積み重ねがリセットされてしまうこともあります。タブレット/PCを使う際の基礎的な能力として、日頃からパスワードを適切に管理するということを重視しておきたいです。
GIGA端末といじめの問題を分けて対応
また、「ネットいじめにあった」というケースもあります。これは、いじめの手段が「タブレット/PC」であったというだけであり、タブレット/PCがなかったら他のやり方でやっていたと思われます。「タブレット/PCに関わること」と「いじめに関すること」をきちんと分けて、対応することが求められます。たとえば、校内で使うSNSのようなものにおいて、他の人になりすまして悪口を書くというケースがあります。そういった場合、「なりすましが行われている現状への対応(ID、パスワード等の管理を適切に行う)」と「いじめをなくすこと」の両方を行う必要があります。単にID、パスワード等の管理について対応したとしても、根本であるいじめについて対応しなければ、また違う形でいじめが行われることとなります。
現在、学校においてタブレット/PCを活用していく過渡期です。色々なトラブルが出てくる中で、より適切なやり方を見出していく時期なのだと思います。その都度、生じたトラブルに対応しながら、望ましい形を探っていくことが求められます。