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イマージョン教育に取り組む豊橋市立八町小…視察レポート公開

 IBSは、2022年6月13日に愛知県豊橋市立八町小学校にて行われた「イマ―ジョン教育の公開授業」にて、授業視察およびIBS学術アドバイザーによる講演を実施。今回、そのようすを詳しく伝えるレポートをWebサイトに公開した。

事例 活用例
豊橋市立八町小学校の授業風景
  • 豊橋市立八町小学校の授業風景
  • 原田教授による講演のようす
 ワールド・ファミリー バイリンガルサイエンス研究所(IBS)は、2022年6月13日に愛知県豊橋市立八町小学校にて行われた「イマ―ジョン教育の公開授業」にて、授業視察およびIBS学術アドバイザーによる講演を実施。今回、そのようすを詳しく伝えるレポートをWebサイトに公開した。

 豊橋市は、2005年度に「『国際共生都市・豊橋』英語教育特区」に認定され、全国に先駆けてコミュニケーションを中心とした英語授業や小学校からの英語教育を推進している。その流れを受け、豊橋市立八町小学校は2020年度より、国語と道徳以外の教科はおもに英語を使って学ぶ「イマージョン学級」を開設。公立小学校によるイマージョン教育の導入は国内初の取組みであり、開始から3年目を迎えている。

 今回、「授業で用いる言語(日本語/英語)の違いにかかわらず、楽しく、わかりやすい授業をつくる」という八町小学校の取組みや成果を他の小中学校に共有することを目的に、授業公開を実施。IBSはこの取組みに協力するべく、3回目となる授業視察を実施。加えて、当日豊橋市内の小中学校教員に向け、イマージョン教育の実践や知見をどのように英語授業の改善に生かすことができるか、といったテーマで、早稲田大学教育・総合科学学術院教授でIBS学術アドバイザーの原田哲男教授による講演を行った。

 当日は、3限目~6限目にわたり、おもに高学年の算数や社会の授業を視察。前回(2021年12月)の視察時に観察できた「高学年の児童たちが抽象的な概念を日本語と英語の両方で理解できていること、その背景にはさまざまな指導の工夫があること」に加え、今回は、特に「英語学習と教科学習がうまく統合されているようす」が観察されたという。IBSのWebサイトに公開した視察レポートでは、各教科の中で児童たちがどのように理解を進めているのか、どのように英語を身に付けているのか、また指導の工夫について、CLIL(内容言語統合型学習)の理論の1つ「the language triptych(言語の3点セット)」にあてはめて詳しく考察している。

 また、原田教授による講演「学習環境と英語学習~イマージョン教育と従来の英語学習~」では、イマージョン教育を受けている児童は、「言語」と「それを使う状況」の関係を無意識のうちに理解し、場面に応じて英語を使うことに慣れているといった特徴を紹介。小学校卒業の段階では、英語を理解する能力(聞く、読む)は優れているものの、発信力(話す、書く)は発展途上であることから、中学校以降の教育をどうするのか、イマージョン教育を成功させるために、日本語と英語の両方をバランスよく使いながら教科を学ぶ環境を小中高できれば大学まで続く長期的なプログラムとして確立することが不可欠とした。

 2022年度から八町小学校の校長を務める山本先生は、「愛知県の中でも特に外国籍の人が多く住む豊橋だからこそ、共生社会を実現することが地域にとって良い取組みであると地元の方々に知ってもらいたい」という思いを語っている。IBSは、八町小学校の取組みには、豊橋の子供たちが英語力を身に付けてグローバルに活躍できる人材に育つようにという「Global(グローバル)」の視点と、より良い地域づくりに貢献する人材に育つようにという「Local(ローカル)」の視点の両方があり、それらが組みあわさった「Glocal(グローカル)」な視点こそが、公立学校がイマージョン教育に挑戦する意義なのではないか、としている。

《畑山望》

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