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時間外「月45時間以下」小中高で増…学校の働き方改革調査

 文部科学省は2022年3月4日、「令和3年度(2021年度)教育委員会における学校の働き方改革のための取組状況調査結果」を公表した。教職員の勤務実態を把握する調査の他、各教育委員会による具体的な取組み等も紹介している。

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時間外勤務の経年比較(小学校)
  • 時間外勤務の経年比較(小学校)
  • 時間外勤務の経年比較(中学校)
  • 時間外勤務の経年比較(高等学校)
  • 勤務実態の具体の把握方法
  • 3分類に係る取組状況
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  • 3分類に係る取組状況
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 文部科学省は2022年3月4日、「令和3年度(2021年度)教育委員会における学校の働き方改革のための取組状況調査結果」を公表した。教職員の勤務実態を把握する調査の他、各教育委員会による具体的な取組み等も紹介している。

 教育委員会における学校の働き方改革のための取組状況調査は、2016年度(平成28年度)から開始。2019年1月の中央教育審議会による「新しい時代の教育に向けた持続可能な学校指導・運営体制の構築のための学校における働き方改革に関する総合的な方策について(答申)」を踏まえ、全面的にリニューアルした。各教育委員会や学校における働き方改革の進捗状況を明確にし、市区町村別の公表等や取組事例の展開を通じて、働き方改革の取組みを促すことを目的としている。

 2021年度については、前年度と同様に項目を限定しつつ、学校および教師が担う業務の明確化・適正化がどの程度進んでいるかのフォローアップを行うため、2019年度(令和元年度)に調査した業務の明確化・適正化に係る項目等について追加して実施した。調査基準日は2021年9月1日時点で、学校(公立の幼稚園~高等学校)の教職員の服務監督をするすべての教育委員会や事務組合等(47都道府県教育委員会、20指定都市教育委員会、1,726市区町村教育委員会・事務組合等)が対象。回答数はすべての教育委員会等1,793。

 時間外勤務の経年比較をみると、小学校では「時間外勤務月45時間以下」の割合は、2019年度と比較し、約2~16%程度増加。中学校は、約4~14%程度増加。高校は約8~14%程度増加している。ICカードやタイムカード等の記録による客観的な方法で勤務実態を把握している割合は都道府県100%(前年度91.5%)、政令市100%(前年度85.0%)、市区町村85.9%(前年度71.3%)と、前年度に比べて大きく伸び、適正な勤務実態の把握が全国的に進んでいる。

 中央教育審議会答申において、これまで学校・教師が担ってきた業務について、「基本的には学校以外が担うべき業務」「学校の業務だが、必ずしも教師が担う必要のない業務」「教師の業務だが、負担軽減が可能な業務」の3つに分類。これら3つの分類に係る取組状況については、「基本的には学校以外が担うべき業務」の中の「登下校時の対応は、学校以外の主体(地方公共団体、教育委員会、保護者、スクールガード・リーダー、地域人材等)が中心に対応している」が、政令市の実施率が8割を超えた。

 「学校の業務だが、必ずしも教師が担う必要のない業務」の取組みでは、「部活動について、部活動指導員をはじめとした外部の人材の参画を図っている」が、都道府県と政令市で100%となっている。「教師の業務だが、負担軽減が可能な業務」の取組みでは、「授業準備について、教師をサポートする支援スタッフの参画を図っている」が、政令市で95%、都道府県で57.4%。市区町村では2019年度調査から1割以上増加した64.1%となっている。

 その他、ICTを活用した校務効率化の実施状況および活用事例もまとめており、都道府県・政令市では9割以上、市区町村では約8割の自治体がICTを活用した校務効率化に取り組んでいる。学校と保護者等間における連絡手段のデジタル化については、都道府県・政令市において約8割以上で実施されている一方、市区町村は約6割にとどまっている。活用事例として、茨城県筑西市教育委員会の欠席連絡等の保護者との連絡手段のデジタル化を紹介している。

 さらに、感染症対策の実施状況では、中学校・高校の「部活動の活動時間の短縮または自粛」、すべての校種の「学校行事の中止・延期または縮小」は、9割を超える自治体で実施。「教員による清掃・消毒作業」の実施はすべての校種で8割を超えており、多くの自治体で実施。その他の「平日における授業時間数増加」等の項目については、多くの自治体で実施されなかった。
《田中志実》

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