青森県教育委員会は2025年8月6日、2028年度以降の県立高校教育改革の推進に向けた「青森県立高等学校魅力づくり推進計画基本方針(案)」をとりまとめた。同計画は、高等学校教育を取り巻く環境の変化等を踏まえ、新しい時代に求められる資質・能力を主体的に身に付けられるよう、生徒の学習意欲を喚起し、可能性および能力を最大限に伸長するための魅力ある高等学校づくりを推進することを目的として策定された。
日本の人口減少は一層の進行が見込まれており、青森県においても、人口減少に伴い中学校卒業予定者数が大幅に減少。2027年から2037年までの10年間の減少数は約2,800人となり、1学級当たり40人として試算すると、約50学級の減に相当する。
同計画は基本方針(10年間)と実施計画(前期・後期各5年間)で構成される。この中で今後の学校配置についても触れ、学校規模の標準を設定せず、各地域の実情や各校の果たす役割等を踏まえた柔軟な視点による学校配置を進めるとしている。
全日制高校の再編では、青森県の東青、西北、中南、上北、下北、三八の6つの地区ごとに、将来の中学校卒業者予定数の減少、中学生のニーズ、地域の産業構造、通学環境、国の高等学校教育改革の動向等を考慮しながら、さまざまな役割を担う高等学校の配置を計画的に進める。また、各地区において、生徒の進路志望や興味・関心等の学習ニーズに応じた柔軟で質の高い学びを提供できる教育環境を整備するため、市町村における高等学校の配置状況等を考慮しながら、統合等を含む計画的な学校配置について検討するとしている。
一方、地域とともにある高等学校づくりを進めるため、各実施計画期間開始時において、市町村に1校のみ配置される1学年当たり2学級以下の規模の高等学校については、教育活動の質の向上が図られるよう、地域等と一体となって学校の活性化に取り組む「地域共育校」として配置する。また、同県の基幹産業のひとつである第1次産業の人財育成を担う農業科・水産科が設置されている高等学校については、地域共育校の対象とせず、産業の方向性を踏まえた学科の在り方を検討しながら、学科の選択肢を確保する。
この活性化策の一環として、地域協議会を設置し、教育資源の共有や新しい取組みを創出することで、学校の教育の質の向上を目指す。しかし、こうした取組みにもかかわらず生徒数の減少が続く場合は、募集停止も視野に入れた議論を行うこととなっている。
なお、定時制高校は、6つの地区にそれぞれ配置することを基本とし、通信制高校は、東青、中南、三八の3つの地区に配置し、オンライン教材の活用によってスクーリングの負担を減らすなど、柔軟な学びの機会を広く提供していく方針だ。