埼玉県の大野元裕知事は2025年11月10日、黄川田仁志内閣府特命担当大臣(こども政策・少子化対策等)宛に「保育士の処遇改善と人材確保の推進等に係る要望」を提出した。県内の待機児童対策や保育士不足が深刻化する中、保育現場の人材確保をはじめ、0~2歳児の保育料の完全無償化や医療費助成の全国一律化など、子供・子育て施策に関する7項目の支援を求めている。
要望書ではまず、保育士の給与水準が近隣する都内自治体より低い現状を指摘し、給与の原資となる公定価格を適正に設定するよう要請。地域区分の見直しにあたっては、国家公務員の地域手当に準拠する現行の方式から脱却し、東京都との格差や地域実情を十分に反映させることを求めた。
さらに、保育所の預かり開始時間と小学校の登校時間の差により、保護者が仕事などを変更せざるを得ない状況になる、いわゆる「朝の小1の壁」への対応として、小学校登校前の時間帯に子供を預かる場を整備する事業への国の財政支援も訴えている。
また、2025年度に導入された「1歳児配置改善加算」の要件について、職員の平均経験年数を10年以上とする基準が人材確保の妨げになるとして撤廃を要望。物価高騰への対応としては、保育所や放課後児童クラブの運営費に反映できる仕組みの整備を求めた。加えて、0~2歳児の保育料完全無償化の早期実現も訴えている。
そのほか、児童養護施設等の職員配置基準の見直しや、建設費上昇を踏まえた施設整備交付金の改善、子供・障害児・ひとり親家庭への医療費助成制度の全国統一化を要望。埼玉県は、今回の要望書の提出を通じて、子供を取り巻く環境整備を国と連携して推進する姿勢を示している。







