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岩手県、第3期県立高等学校再編計画を策定…10年間で最大71学級減

 岩手県教育委員会は2025年8月5日、令和8年度から令和17年度までの10か年計画となる「第3期県立高等学校再編計画(当初案)」を策定した。計画期間中に学級数は213から142~163へと約71学級減少する見込みだ。

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第3期県立高等学校再編計画(当初案)の概要
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 岩手県教育委員会は2025年8月5日、2026年度から2035年度(令和8年度~令和17年度)までの10か年計画となる「第3期県立高等学校再編計画(当初案)」を策定した。少子化による生徒数減少に対応するため、学校の特色化・魅力化を進めながら、前期計画(2026年度~2030年度)と後期計画(2031年度~2035年度)に分けて再編を実施。計画期間中に学級数は213から142~163へと最大で71学級減少する見込みだ。

 この計画は、「いわて県民計画(2019~2028)」や「岩手県教育振興計画(2024~2028)」などを踏まえて策定された。県教育委員会は、中学校卒業予定者数が2025年度(令和7年度)の9,715人から2035年度(令和17年度)には6,839人へと約30%減少する見通しを示しており、学校と地域等の連携・協働による魅力ある学校づくりが進む中、その取組みの持続可能性を高める必要がある。

 第3期再編計画では、「持続可能な社会の創り手となる人材の育成」を基本方針に掲げ、5つの柱を設定している。

1) 持続可能な社会の創り手となる人材の育成
2) 高等学校の多様化に対応、各自の希望する進路の実現
3) 教育の質の保証、教育の機会の保障
4) 地域や地域産業を担う人材の育成
5) 大学進学率の向上や専門的知識をもつ人材の育成

 計画では、学校規模の大小に関わらず、各校が特色・魅力ある教育活動を展開することを重視し、望ましい学校規模を設定していない。最低規模は1学年あたり普通高校は2学級(総合学科高校は3学級)。専門高校は学科により1学年4~5学級以上を基準とし、1学級の規模は40人を標準としている。ただし、1学年1学級校の存在が、高校を核とした地方創生の推進に大きな役割を果たしている地域において、所在する自治体等と連携することで教育活動の充実が図られている場合、1学年1学級校の普通高校については「地域校」とし、地域における学びの機会を保障する。

 また、学級数の増減や募集停止に関する規則も明確化。入学志願者の数が2年連続して募集定員を超えた場合、学級増について検討するとしている一方、入学志願者の数が1学級定員(40人)以上不足する場合は学級減について検討し、入学志願者数が2年連続して20人以下となった場合は原則として翌年度から募集停止。複数の小学科・学系を併置する学校では、志願者が2年連続10人以下の場合、原則として、翌々年度から募集停止となる。

 計画では、県内を6地区(盛岡、中部、県南、沿岸南部、宮古、県北)に分け、地域ごとの再編プログラムを示している。前期計画(2026年度~2030年度)では以下のような再編が予定されている。

・盛岡地区:盛岡工業高校は2028年に学科改編、2030年をめどに校舎移転/平舘高校は2027年家庭募集停止
・中部地区:花北青雲高校は2028年に工業募集停止/遠野緑峰高校は2027年に商業募集停止、2029年に遠野高校と統合/黒沢尻工業は2027年に半導体関連へ学科改編
・県南地区:一関第一高校は2029年に探究関連へ学科改編/岩谷堂高校は2028年に農業系列および工業系列選択停止/金ケ崎高校は2028年に水沢高校と統合/大東高校は2027年に商業募集停止/杜陵奥州高校は2028年に定時制および通信制を金ケ崎校舎へ移転/県南工業高校(水沢工業・一関工業を統合し県南地域に新設する工業高校)は前計画の内容を維持し、統合等に向け取り組む
・沿岸南部地区:高田高校は2028年に水産募集停止/大船渡東高校は2028年に家庭募集停止(調理師養成施設以外の学びは農業の中に維持)
・宮古地区:宮古商工・宮古水産高校は2027年に校舎一体整備/宮古水産高校は2028年に県内の水産および調理師養成施設集約
・県北地区:久慈翔北高校は2028年に水産系列選択停止、食物系列の調理師養成施設廃止

 なお、後期計画基本中の方向性として、盛岡地区では大規模な統合等の検討が想定されている。

 また、普通科改革やスクール・ポリシーを踏まえた選択的導入(遠隔教育、県外募集、単位制、マイスター・ハイスクール等)についても各高校で検討を進める。

 計画では、高校の特色化・魅力化を推進するため、探究的な学びを支援する魅力化アドバイザーの配置や、地域連携コーディネーターの配置支援などを実施する。また、新たな学科等の設置についても各高校で必要に応じて検討を進めるとしている。

《中野坂理恵》

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