コロナ禍でICT活用が前進
日本において新型コロナウイルスが流行して、丸2年になります。今もオミクロン株による第6波が学校現場を直撃しています。学校現場はさまざまな対応に追われています。タブレット/PCへの対応はその1つです。
学校でのタブレット/PCの普及はこの2年間で一気に進みました。GIGAスクール構想はコロナの流行以前の2018年から行われていたものです。2020年春の一斉休校時、質の高い学びが続けられなかったということがきっかけで、タブレット/PC端末を1人1台で配布することが強力に進められました。文科省の調査では、2021年7月の時点で約96%の自治体で配布が完了しているとのことです。
そういった状況において保護者から学校に訴えがあるものに「タブレット/PCの活用状況が違っていて不公平だ」というものがあります。保護者は自分の子供が基準となります。今は情報機器等の発達で、昔よりも他のクラス、他の学校の情報が簡単に入手できる時代です。基準である自分の子供のクラスとの違いに気づく保護者も少なくありません。
違いは大きく3種類
この場合の「違い」にはいくつかのものがあります。今回のタイトルのように「他のクラスと違う」ということや「他の学校と違う」「他の自治体と違う」等があります。それぞれで対応の仕方が違ってきます。保護者の訴えがどの違いに当たるのかを把握することは大切です。たとえば「他の自治体と違う」の場合、学校で取り組むことができることは多くはありません。ハードやソフトの制限等があり、学校がやりたいと思っても自治体のレベルで制限が掛かってしまっていることがあります。先進的な自治体としては、コロナ前から進んだ取組みをしていた熊本市や、コロナ後に市教委等が積極的に取り組んでいる新潟市等があります。自治体レベルでの遅れに関しては、学校にではなく、教育委員会を含めた行政や議員に話をした方が良いということを保護者に伝えると良いでしょう。
取組みを共有する
学校として、何らかのアクション(改善)を起こす必要があるものが「クラス」「学校」の違いです。同じ自治体で進んだ取組みをしている学校があるということであれば、その学校の取組みを問い合わせることが良いでしょう。同じ自治体であれば、ハードやソフトはほとんどが同じであるので、進んだ取組みを導入することはそれ程難しくは無いはずです。学校に1人でもICTを得意とする教員がいるとその学校はICTの活用が進んでいきます。
学校内でクラスによって取組み状況が違うという訴えの場合は少し取組みが違ってきます。先ほども書いたように学校にはICTの扱いに慣れている(得意な)教員とそうでない教員がいます。あまり慣れていない教員が担任をしているクラスの保護者から訴えがあることが多いです。そういった際、保護者からの訴えを受け、学校全体の取組みとして苦手な人の状況に合わせるというやり方は避けていきたいです。これはICTの活用だけでないのですが、学校では変な意味で「平等」「公平」を保つことがこれまでもよく行われてきました。イメージとして「下に合わせる」感じです。「出る杭は打たれる」感じです。ある部分において、そういった考えも必要なのだと思いますが、特にICTに関してはできるだけ「上に合わせる」ようにしていきたいです。
ICTの活用は、他のものと比べ、教員間で取組みを共有しやすいものです。校内で取り組む仕事の量の調整を行い、得意な教員がそうでない教員のフォローができる仕組みを作ります。その際のポイントは仕事を減らすことです。ICTを取り入れることで他の部分でこれまで取り組んでいた仕事が減るようにしていきます。ICTを取り入れることで減らせるタイプの仕事があります。たとえば、便り(学校便り、学年便り、学級通信等)をメール配信にすることです。印刷の手間、配布の手間等を省くことができます。出欠席の連絡のオンライン化も同様です。これまで連絡帳や電話等を使って伝えていたものをオンラインにすることで朝の時間の煩雑さが解消できます。このようにICTを導入することで減らすことができた時間を研修や準備の時間にあてるようにしていきます。また、これまであまり検討することなく慣例で取り組んできたものを減らすことも可能でしょう。コロナをきっかけとして学校を一段バージョンアップさせていく感じで取り組んでいきたいものです。
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