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2020年度の国内eラーニング市場規模、前年度比22.4%増

 矢野経済研究所は2021年4月26日、国内eラーニング市場に関する調査結果を発表した。2020年度の国内eラーニング市場規模は、前年度(2019年度)比22.4%増の2,880億5,000万円の見込み。BtoB市場、BtoC市場とも、市場を大きく拡大させる見込みだという。

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 矢野経済研究所は2021年4月26日、国内eラーニング市場に関する調査結果を発表した。2020年度の国内eラーニング市場規模は、前年度(2019年度)比22.4%増の2,880億5,000万円の見込み。BtoB市場、BtoC市場とも、市場を大きく拡大させる見込みだという。

 国内eラーニング市場に関する調査は、eラーニングシステム開発・構築・販売事業者、eラーニングコンテンツ開発・製作・販売事業者、eラーニングを介した研修や講義を提供・運営する事業者(学習塾、語学学校、研修事業者等)、学習ソフトウェア開発・製作・販売事業者等が対象。面談取材、電話・FAX・メールによるヒアリング、文献調査を併用して実施した。調査時期は2021年1月~3月。

 調査におけるeラーニング市場とは、インターネット等のネットワークを利用した学習形態を指しており、ゲーム機やパソコン向けソフトウェアを利用したものは除く。学習コンテンツとしては、ビジネス、教科学習、語学、IT技術、資格取得、教養・雑学等、幅広いジャンルを含んでいる。

 2020年度の国内eラーニング市場規模は、前年度(2019年度)比22.4%増の2,880億5,000万円の見込み。内訳は、法人向け(企業・団体内個人を含む)のBtoB市場規模が前年度比23.6%増の845億5,000万円、個人向けのBtoC市場規模が前年度比21.9%増の2,035億円で、両市場ともコロナ禍による需要の高まりを受けて大きく市場を拡大させる見込みとなった。

 コロナ禍以降、ネットワーク・ラーニング(BtoB)市場では、企業での集合研修や対面教育等が制限され、その代替サービスとしてオンラインで完結するeラーニング関連サービス全般への需要が急激に高まった。しかし、顧客層が広がったことで、これまでeラーニングの導入が遅れていた中小企業等からの需要が小規模・低単価なサービスに集中し、コロナ禍以前から課題となっていたeラーニングの価格下落が一層強まっている。

 BtoC市場では、コロナ禍で遠隔教育の必要性が高まり、結果としてユーザー数が増加し市場の大幅な拡大につながっている。2020年度はBtoC市場を構成する、おおむねすべての学習ジャンルが市場拡大を果たしたものとみられ、個人の学習形態の1つとして、ネットワーク・ラーニングサービスが一般化する環境がさらに加速化しているという。

 近年、活発化しているAI技術(機械学習、音声認識、自然言語処理、音声合成等)を活用した学習サービスの展開は、コロナ禍でこれまで以上にAI技術によるeラーニングの進化が求められている。現在、AI活用の主流となっているアダプティブラーニング領域のサービスのほか、語学習得、学習アドバイス・学習に対するモチベーション維持、ナレーション音声の自動作成等の領域でもAIを活用した学習サービスの提供が進んでいる。また、実際に提供されているAIを活用したeラーニングは、複数の技術を組み合わせてサービス化しているものも多く、AI技術の適用領域は着々と拡大している。

 2021年度の国内eラーニング市場規模は、2020年度に比べて8.5%増となる3,126億円と予測されている。BtoB市場規模は前年度比12.5%増の951億円、BtoC市場規模は前年度比6.9%増の2,175億円と予測。

 2021年度は、コロナ禍の収束時期の見通しがつかないことから、BtoB市場、BtoC市場ともにコロナ禍によって高まった需要が維持されると見込まれ、eラーニングのユーザー数および利用企業数が増加すると考えられる。ただ、BtoB市場では価格下落の進行、BtoC市場では対面教育への需要の高さや無料学習サービスが数多く生まれていること等の阻害要因(課題)があることから、前年度に比べて金額ベースの伸長は抑制されるものとみられている。
《外岡紘代》

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