環境省は、2026年度(令和8年度)の暑さ指数(WBGT)および熱中症警戒アラート等の情報提供を、4月22日から10月21日まで実施する。
近年、気温の上昇が顕著となる中、学校現場における熱中症対策は「注意喚起」から「具体的な行動判断」へと進化している。暑さ指数や警戒アラートは、その判断を支える重要な指標である。
暑さ指数(WBGT)とは何か
暑さ指数(WBGT:Wet Bulb Globe Temperature)は、気温・湿度・日射や輻射熱といった要素を取り入れ、人が感じる暑さを総合的に評価した指標である。単位は気温と同じように扱われるが、実際の気温とは異なる概念であり、熱中症の危険度を評価するために用いられる。
環境省では、このWBGTをもとに全国の暑さ指数の実況値・予測値を公表しており、学校体育や部活動、校外行事の可否判断に広く活用されている。
覚えておきたい暑さ指数の目安
教育現場で特に重要となるのが、WBGTの数値ごとの「行動目安」である。文部科学省の「学校における熱中症対策ガイドライン作成の手引き」では、以下のように示されている。
・21以上25未満(強い生活活動でおこる危険性):【注意/積極的に水分補給】
一般に危険性は少ないが、激しい運動や重労働時には発生する危険性がある。運動の合間に積極的に、水分・塩分補給は必要。
・25以上28未満(中等度以上の生活活動でおこる危険性):【警戒/積極的に休憩】
運動や激しい作業をする際は定期的に十分に休息を取り入れる。積極的に休憩をとり、適宜、水分・塩分を補給する。激しい運動では、30分おきくらいに休憩をとる必要がある。
・28以上31未満(すべての生活活動で起こる危険性):【厳重警戒/激しい運動は中止】
熱中症の危険性が高いので、激しい運動や持久走など体温が上昇しやすい運動は避ける。10~20分おきに休憩をとり水分・塩分の補給を行う。暑さに弱い人(体力の低い人、肥満の人や暑さに慣れていない人など)は運動を軽減または中止。
・31以上(すべての生活活動で起こる危険性):【運動は原則中止】
特別の場合以外は運動を中止する。特に子供の場合には注意すべき。
WBGT28を超えるあたりから、熱中症による救急搬送者が急増することがデータからも示されており、「気温がそれほど高くない日でも油断はできない」点が重要である。
熱中症警戒アラート・特別警戒アラートの位置付け
暑さ指数をもとに発表されるのが熱中症警戒アラートである。これは、熱中症のリスクが著しく高くなると予測される場合に、前日または当日に発表される注意喚起情報だ。
さらに、その一段上として位置付けられるのが熱中症特別警戒アラートである。都道府県内のすべての観測地点でWBGTが35以上になると予測される場合に発表され、行事やイベント、屋外活動の中止や延期を含めた、より強い対応を求める内容となっている。
学校現場でどう活用するか
文部科学省の通知や各自治体のガイドラインでも、「気温」ではなく「暑さ指数」を基準に活動可否を判断することが強調されている。具体的には、
・朝の段階でWBGT予測値を確認する。
・授業・部活動中も実況値を定期的にチェックする。
・数値に応じた「中止・短縮・屋内変更」の判断基準を校内で共有する。
といった運用が求められる。
環境省の熱中症予防情報サイトでは、全国約800地点の暑さ指数が地図やグラフで確認できる。また、熱中症警戒アラートや暑さ指数の情報は、環境省のLINE公式アカウントや、外部のメール配信サービスでも配信される。日々の判断を「個人の感覚」に委ねないためにも、これらのツールの活用は欠かせない。
「例年通り」では守れない時代へ
暑さは年々厳しさを増し、「4月だから大丈夫」「この程度なら問題ない」といった過去の経験則は通用しなくなりつつある。暑さ指数や熱中症警戒アラートは、教育活動を止めるための情報ではなく、子供たちの学びと命を守るための判断材料である。
注:暑さ指数(WBGT)は、環境省の表記に従い、本記事では単位「℃」を省略して記載している。画像中の「℃」表記は文部科学省資料によるもの。








