京都産業大学 文化学部 国際文化学科と日本事務器は、小中学校の学校図書館に対する遠隔レファレンスの共同研究に関する契約を2025年7月に締結した。2027年度までに学校司書が不在の状況でも適切な資料を提供できる「AI学校司書」の実現を目指す。
学校図書館は、読書活動が中心で、児童生徒の主体的・能動的な学習および教員の教材研究や授業実践を支援する機能が十分ではなく、また司書教諭や学校司書の配置状況も地域や学校により異なり、資料の選定や活用における地域間の格差が課題になっている。
遠隔レファレンス機能をもつ「AI学校司書」は、学校司書が不在の状況でも、児童生徒や教員の問いに対して適切な「資料」を提供できる仕組み。構築には、学校指導要領・教科書データ、各教員が作成した教材データ、出版・流通している書籍データ、著作権処理済の画像データなどをAIに読み込ませる必要がある。
現在両者は、千葉県千葉市と和歌山県日高川町において、記録アプリとしてBOOK MARRY(ブックマリー)を活用した実証研究を進めている。AIが関連データを学習することで、これまでの情報検索とは異なり、教員が実際に授業で使用した教材データなどと、学習指導要領や教科書の内容、さらには外部データを取り込むことを通じて、より実践的で深度のある資料提供が可能となる見込みだという。
共同研究期間は2025年度から2027年度までの3年間を予定。両者は、期間内に地域限定、科目限定での「教育現場の集合知+AI」による遠隔レファレンス「AI学校司書」の実現を目指すとしている。