文部科学省のあべ俊子大臣は2025年8月29日に記者会見を行い、自殺予防週間に向けた関係省庁大臣のメッセージに触れ、悩みや不安を感じている児童生徒や保護者へ向けたメッセージを再度伝えた。また、2026年度(令和8年度)概算要求と、いわゆる「高校無償化」の実現に向けた2026年度税制改正要望、教員による私用端末等の教室への持ち込みについて見解を述べた。
9月10日から16日の自殺予防週間に向け、あべ大臣、福岡厚生労働大臣、三原こども政策担当大臣 兼 孤独・孤立対策担当大臣の3者は連名でメッセージを発信。文部科学省は8月18日付けで児童生徒に対し、悩みや不安を1人で抱え込まずに相談するよう呼びかけるメッセージも発出しており、あらためて、1人で抱え込まずに信頼できる人に相談するよう呼びかけた。保護者や周囲の大人にも、子供の態度に現れるサインに注意を払い、悩みの声に耳を傾けるよう求めている。
2026年度の概算要求については、文部科学省として総額6兆599億円を要求した。総額6兆円超えの要求は18年ぶり。予算は教育改革を推進するためのものであり、教職調整額の引き上げや中学校35人学級の実施、高校教育改革の推進、国立大学等の教育研究基盤の維持などが含まれている。
高校無償化に関しては、2026年度の税制改正要綱において財源確保のために法人税の引き上げなどが検討されているという報道が一部である中、文部科学省は税制による新たな財源の確保方策について、特定の税目を定めずに検討するよう要望を提出した。
また、高校無償化に関して、いまだ詳細な制度設計や枠組みなどが示されていない点については、現状実務担当者が検討に入っており、その状況を踏まえながら文部科学省としても必要な対応をとる、との言及にとどまった。
愛知県の教員による不適切な端末使用が問題となり、札幌市教育委員会が教室への私用スマートフォンやタブレットの持ち込みを原則禁止する方針を示すなど、教職員の私的端末使用に関するルール整備も進んでいる。文部科学省は各教育委員会に対し、端末の使用に関するルールを整備するよう指導を行っており、教育現場における性暴力等の根絶に向け、自治体と協力しながら取組みを進めていくと述べた。
さらに、記者会見の冒頭では、APEC文化ハイレベル対話に出席するため大韓民国を訪問したことを報告。文化クリエイティブ産業の発展や、この産業を牽引すると期待されるデジタルとAIのイノベーションの発展などについて、初の閣僚級会談が行われた。