千葉県教育委員会は2025年10月15日、「県立高校改革推進プラン・第2次実施プログラム」を策定した。八千代東高校と八千代西高校を統合して県内公立高校初の「学びの多様化学校」を設置するなど、9項目15校の再編計画や方向性を示している。
千葉県教育委員会では、2022年度以降の県立高校改革を進めるため、2031年度を目標年次とする「県立高校改革推進プラン」を2022年3月に策定。2022年10月には「第1次実施プログラム」を策定し、12項目18校の再編に係る内容を示すとともに、都市部および県東部や南部における今後の統合の方向性を示した。
今回、今後実施すべき高校改革のうち、検討を終えた具体計画を「第2次実施プログラム」として取りまとめた。都市部の小規模校の統合、理数科を設置する進学指導重点校の充実、産業と連携した人材の育成、多様な教育ニーズへの対応などを柱に9項目15校について、教育内容や施設・設備の充実などを盛り込んでいる。
このうち、少子化への対応と多様なニーズに応える新しい学校づくりとして、八千代東高校と八千代西高校、船橋豊富高校と船橋北高校、沼南高校と沼南高柳高校を2028年度（令和10年度）に統合する。
八千代東と八千代西の統合校は、不登校生徒の実態に配慮した「学びの多様化学校（コース制）」とし、単位制を導入して個別最適な学びを展開。八千代東の校舎を使用し、普通科を設置する。学びの多様化学校の設置は、県内公立高校初となる。
船橋豊富と船橋北の統合校は、両校の学びを継承して社会のニーズに対応する新たな学びを導入するため、普通科を改編して総合学科を設置。船橋豊富の校舎を使用し、福祉コース・情報コースを福祉の系列・情報の系列に再構成。スポーツの系列、一般教養の系列も設置予定。
沼南と沼南高柳の統合校は、全日制普通科を改編し、沼南高柳の校舎に定時制と通信制を併置した「フレキシブルスクール」とする。定時制には、県内公立高校初の昼間二部制定時制の課程（午前部・午後部）を設置し、1日4時限の授業を基本とした教育課程を展開する。通信制は、教員によるスクーリング（面接指導）に加え、オンラインによるスクーリングを一部併用。レポート（報告課題）の電子化を推進するなど、オンラインに特化させる。
進学実績の向上に重点を置いた「進学指導重点校」のさらなる充実のため、柏高校と佐原高校は、2027年度（令和9年度）から単位制を導入。先進企業、研究機関、大学などとの連携によるフィールドワークやワークショップなどの実践を通じ、探究的な学習を軸とした理数教育のさらなる充実に取り組む。
水産系高校では2027年度から、銚子商業高校の海洋科に洋上風力発電に関する学びを導入、大原高校で海洋科学系列の栽培漁業やマリンレジャーに関する学びを充実、館山総合高校の海洋科に沿岸漁業に関する学びを導入。遠隔地からの生徒受入体制の整備を進める。館山総合では、2030年度（令和12年度）末で専攻科を廃止する。
工業系学科では2027年度から、東総工業高校と茂原樟陽高校で工業に関する学科を再構成。地元企業と連携して学ぶことで、実践的なスキルを習得する「デュアルシステム」を各学校の実情に応じて導入する。東総工業は現状の4学科（電子機械科・電気科・情報技術科・建設科）から3学科、茂原樟陽は現状の3学科（電子機械科・電気科・環境化学科）から2学科への再構成を図る。
県東部や南部の小規模校については、活性化と地域を支える人材育成のため2027年度から、多古高校と市原高校を地域連携協働校に指定し、地域社会に関する学びを導入する。
再編により、県立高校（全日制）は現在の118校から、2028年度には114校となる見通し。
