あべ文部科学大臣は、記者会見を2025年4月11日に行い、大阪・関西万博の教育的意義と安全対策、高校生等の修学支援に関するリーフレット公表などについて説明した。
文部科学省は、高校生等のための修学支援に関する新しいリーフレットを2025年4月11日に公表した。このリーフレットは、いわゆる「高校無償化」に関するもので、3党合意に基づき、2025年度から実施される先行措置について、都道府県・学校・保護者等にわかりやすく周知することを目的としている。具体的には、高等学校等就学支援金の所得制限の一部を事実上撤廃し、年収910万円以上の世帯の高校生等に対して「高校生等臨時支援金」として年間11万8,800円を支援する予定である。また、授業料以外の教育費を支援する高校生等奨学給付金も拡充予定である。対象となる生徒に漏れなく支援が行き渡るよう、SNSなどを活用して積極的な情報発信に取り組むとしている。
あべ俊子文部科学大臣はハイパフォーマンススポーツセンターを4月9日に訪問し、各競技の練習場や選手の動きのデータ取得・分析のようすを視察した。アスリートからは遠征費や競技用具の費用負担についての課題があげられた。また、センターのスタッフとデータの活用方法について意見交換を行った。文部科学省は、競技団体と連携しながら競技力向上に必要な予算の確保に努め、国際競技力の一層の向上に取り組むとしている。
大阪・関西万博については、予行演習での滞留による雑踏事故やメタンガスによる事故のリスクが指摘されている。文部科学省は、修学旅行等における事故防止と安全確保を徹底することを前提に、経済産業省からメタンガス対策の追加対策を講じることを確認している。文部科学省は、関係省庁と連携しながら安全確保の徹底に努め、都道府県教育委員会等を通じて情報提供を行うとしている。
給特法改正案の審議については、現時点で他党からの修正案は提出されておらず、今後の国会審議でていねいに説明し、成立に向けて全力を尽くすと述べた。
地方創生に関しては、石破総理が進める地方創生2.0の一環として、中央省庁の職員180人が地方創生支援官に任命された。文部科学省からは係長級から課長級まで14名の職員が選ばれ、地方自治体に寄り添った支援を期待されている。あべ大臣は、顔が見え、熱が伝わる実効性のある支援を行うことを求めた。
また、広島市の松井一実市長が新規採用職員研修で教育勅語を引用したことについて、地元市民団体から抗議の声があがっている件についても触れた。あべ大臣は、教育勅語は法制上の効力を喪失しているとし、文部科学大臣としてのコメントは控えるとした。
さらに、米国のトランプ政権による政府機関の予算削減が科学研究に影響を及ぼしていることを受け、文部科学省の対応についても言及した。米国在住の研究者の多くが研究拠点を米国外に移すことを検討している中で、文部科学省は海外の優秀な研究者を惹きつけるための取組みを進めている。具体的には、国際共同研究の強化や世界トップレベルの研究拠点の整備を進めているという。
日本が研究者の移転先として選ばれにくい理由の1つに給与水準の問題があることについても、あべ大臣は言及した。文部科学省は、研究者が日本で研究したいと思える環境を整えることが重要とし、研究者の安定ポストの確保や競争的研究費の充実に取り組んでいる。今後も科学技術・イノベーションの担い手となる優秀な研究者の確保と活躍促進に向けた取組みを強化する方針を示した。