文部科学省は2024年7月8日、2027年度(令和9年度)の全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)よりコンピュータを用いた出題・解答方式(CBT:Computer-based Testing)へと全面移行する案を有識者会議にて提示した。中学3年生対象の理科からCBTを導入し、3年をかけて段階的に導入していく。
文部科学省は、7月8日に全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)に関する専門家会議およびCBT化検討ワーキンググループの会議を合同で開催。2025年度以降の全国学力テストのCBT化の方向性について議論として取り上げ、今後のスケジュール案などを示した。
全国学力テストの本体調査は、毎年小学6年生と中学3年生を対象に実施。国語と算数・数学は毎年、小・中学校の理科と中学校の英語は3年に1度のペースで行われている。
今回、文部科学省が提示した案では、2025年度の中学・理科からCBTを開始。2026年度は中学・英語のみCBTで行い、それらの結果から抽出した課題と改善を踏まえつつ、2027年度より中学の国語・数学を加えたCBT全面移行を目指す。
また、小学校においては基本的な端末操作の熟達の状況などの課題が考えられることから、問題作成やインターフェイスの設計をより慎重に進める必要があるとして、先行して行う中学調査の結果・分析を踏まえ、2027年度からのCBT導入を目指すとしている。
CBTはすべて文部科学省CBTシステム(MEXCBT)を活用して実施。使用する端末やネットワークは、GIGAスクール構想により整備された1人1台端末やネットワークを活用して行う。それぞれ、CBTを実施する前年度には各学校においてサンプル問題に取り組めるよう、MEXCBT上で環境を整備する。
会議では、CBTの導入にともない、従来の同一問題・正答数(率)とは異なる評価基準「IRT(Item Response Theory:項目反応理論)」を導入することも示唆。児童生徒の正答・誤答が、問題の特性(難易度、測定精度)によるのか、児童生徒の学力によるのかを区別して分析し、児童生徒の学力スコアを推定する統計理論で、CBTで行う教科については複数の問題セットを用意し、児童生徒ごとに異なる問題セットを割りあて、IRTを活用して学力を分析する方針としている。
今回の会議で得られた有識者の意見や、教育委員会・学校現場等の意見を踏まえたうえで、スケジュールや導入の流れ、実施方法などの調査設計を決定していく予定。CBTへの移行により、紙の問題冊子・解答用紙は廃止となる。