文部科学省は2024年1月11日、Webサイト内の大学入試情報提供サイトに「英語資格・検定試験の適切な活用の促進について」を掲載した。大学入学者選抜における英語資格・検定試験の適切な活用に向け、ブリティッシュ・カウンシルや日本英語検定協会、ベネッセなど各実施団体の現在の取組み状況を取りまとめて公表している。
2021年7月に取りまとめられた「大学入試のあり方に関する検討会議・提言」において、総合的な英語力評価について、地理的・経済的事情に配慮した受験環境が作られるよう、大学や資格・検定試験実施団体の取組みが助長されるような推進策の充実が重要と提言された。これを踏まえ、文部科学省は同年10月に英語資格・検定試験実施団体、高校および大学関係者などによる「大学入学者選抜における総合的な英語力評価を推進するためのワーキンググループ」を設置。英語資格・検定試験の活用にあたって必要な事項について協議を行ってきた。
今回、ワーキンググループで協議した大学入学者選抜における英語資格・検定試験の適切な活用に向けた各実施団体の現在の取組み状況について取りまとめた、情報提供資料を作成。Webサイトに公表した。
資料では、大学入試において利用されている民間の英語資格・検定試験であるIELTS、TOEFL、TOEIC、ケンブリッジ英語検定、GTEC、実用英語技能検定(英検)、TEAPなどを運営する7団体の取組み状況を掲載。各団体ごとに、低所得者層への検定料の減免といった「経済的事情への配慮」、オンライン受検システムの整備(不正行為防止対策等含む)や地方・高校会場の拡充などの「地理的事情への配慮」のほか、「障がいのある受験者への合理的配慮の推進」「成績提供の利便性の向上」「第三者評価のあり方、調査研究等」の5つの項目について、現在の取組み状況を示している。
たとえば、「経済的事情への配慮」については、ブリティッシュ・カウンシルは受験者個々の状況に応じた減免ではなく、広く対象受験者の利益となるよう受験料の据え置きを実施。日本英語検定協会は、本会場より検定料を安価に設定した「準会場」を全国約2万団体の協力のもと設置し、学習塾などの実施団体に所属生徒以外の近隣地域の子供たちもできるだけ多く受け入れるよう働きかけている。
「地理的事情への配慮」について、IELTSを共同運営するIDP Educationとブリティッシュ・カウンシル、ケンブリッジ英語検定機構の3団体は、自宅などで受験可能な「IELTSオンライン版(IELTS Online)」を開発。IDPは、2022年7月より日本を含め世界約30か国を対象にIELTSオンライン版を実施し、試験中は人間の試験官監督者およびAI技術による監視、結果開示前の確認など、各段階で不正行為防止のための対策が講じられている。
国際ビジネスコミュニケーション協会は、TOEIC Bridge Testsの受験地拡大を推進しているほか、すべてのテストプログラムがオンラインで受験可能なTOEIC TestsおよびTOEIC Bridge TestsのIPテストを実施。不正行為防止策として、Zoomを用いた試験官によるリモート監視とWebカメラを用いたAI監視の2つを提供している。
英語資格・検定試験実施団体の取組み状況については、文部科学省Webサイト内の大学入試情報提供サイトに掲載。各団体の詳細な取組み状況を確認できる。