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大学入試学会12月設立…入試制度支える専門人材の育成へ

 日本における大学入試の仕組みについて学問的知見から改善サイクルを作り出すことを目的とした「大学入試学会」が、2023年12月に設立する。東北大学が進める大学入試に関する科学研究費メンバーが中心となり、将来の大学入試制度を設計できる人材の育成を目指す。

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大学入試学会
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  • 設立準備委員会及および組織図
  • コロナ禍の下での大学入試政策及び個別大学の入試設計のための総合的大学入試研究

 日本における大学入試の仕組みについて学問的知見から改善サイクルを作り出すことを目的とした「大学入試学会」が、2023年12月に設立する。東北大学が進める大学入試に関する科学研究費メンバーが中心となり、将来の大学入試制度を設計できる人材の育成を目指す。

 大学入試は、2021年度に従来の「大学入試センター試験」に代わる「大学入学共通テスト」が導入され、思考力・判断力・表現力などより深く思考し個人の見解を示すような解答が求められる問題へと傾向が大きく変化した。2025年度には高校の新習指導要領の内容に沿った共通テストとなり、現行の6教科30科目から7教科21科目へ大幅再編するとともに、情報化社会における問題点やプログラミングなどを学ぶ「情報I」が出題科目になるなど、大学入試改革が着々と進められている。

 こうした中、東北大学が進める科学研究費助成事業「コロナ禍の下での大学入試政策及び個別大学の入試設計のための総合的大学入試研究」のメンバーが中心となった「大学入試学会」が12月に創設する。

 大学入試学会は、これまで学術研究の対象とは見なされず、学問的根拠や証拠に基づく制度構築がなされてきたとは言いがたい大学入試について、入試制度や選抜方法はもとより、大学入試の周辺にあるさまざまな課題を研究対象として可視化し、大学入試のアカデミックな価値の認知と制度の説明責任の向上を目指す。

 さらに、日本の大学入学者選抜制度の最大の特徴が、各大学に自ら教育する学生を選び、入学を許可する権限が付与されているという点を踏まえ、近年、各大学に設置されている入試の専門部署「アドミッション・センター」において適切な意思決定に寄与する専門家を配置できるよう、個別大学の入試を支える人材の育成に向け、アカデミックな研鑽を積み、キャリア形成する場を提供する。

 学会は、個人会員の集まりである学会本体の下に、大学関連団体および高校関連団体の協議会をそれぞれ設置する予定。少子化に伴い学生集団の多様化が進む中、日本の大学教育の水準を支える最大の母体が高校であることから、高校と大学が互いの現場の実情を認識し、会員団体相互の研鑽や情報交換できる場も提供。大学入試の仕組みについて、学問的知見の伴ったエビデンスを基に改善のサイクルを作り出すことを使命と捉え、国際化が進む社会において諸外国の制度とのつながりを築いていく仕組みを模索するという。

 学会設立準備委員会の代表は、東北大学の倉元直樹氏。すでに発起人として、全国各地の大学、高校、文部科学省、国立教育政策研究所など教育関連機関から多くの人材が名を連ねている。なお、大学入試学会のWebサイトでは、団体会員の予約加盟および賛助会員の申込みを受け付けている。

《畑山望》

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