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すらら、島しょ・過疎地域における教科学習の成果を確認

 すららネットは、島しょ・過疎地域においてICT教材「すらら」を活用した教科学習の課題解決の成果が確認できたと発表した。モデル校2校において、英語の学力や国語の思考判断表現力のアップ等がみられたという。

教材・サービス 授業
三宅中学校での国語の授業のようす
  • 三宅中学校での国語の授業のようす
  • 富士中学校(八丈島)における英語テストの復習状況ごとの点数伸長比
  • 三宅中学校(三宅島)における国語テストの思考判断表現の正答率の変化
  • 三宅中学校(三宅島)における国語に対する生徒へのアンケート結果

 すららネットは、島しょ・過疎地域においてICT教材「すらら」を活用した教科学習の課題解決の成果が確認できたと発表した。モデル校2校において、英語の学力や国語の思考判断表現力のアップ等がみられたという。

 すららネットは、「スマート東京(東京版 Society5.0)」の柱となる3つの施策の1つ「街のDX」の一環として「島しょ地域の社会課題解決に係るICT活用企画支援事業モデル」の実証事業に2021年度より参画。2022年度は、GIGAスクール事業の成功と継続可能な形へと発展させるための、全国に先駆けた過疎地域における教科学習モデル作りをミッションに、島しょ・過疎地域における事例創出と全国へ発信するモデル作り等に取り組んだ。

 11島ある東京都の島しょ地域の内、2021年度は4島、2022年度は5島を対象に実証事業を展開。島しょ地域で共通している「家庭学習の習慣がない児童生徒が多い」という学習課題や、島しょ特有の学習環境を踏まえながら、2021年度は「教科学習においてデジタル教材を活用して学ぶ」という目標を小中学校10校で達成。2022年度はさらに進んだ成果を創出するべく、おもに取り組む2校をモデル校と位置付けて実証事業を実施した。

 モデル校1校目は、八丈島にある富士中学校。中学2年生の25人の生徒を対象に、AIドリルを利用した英語のプレテストを実施。その後「すらら」を活用したテスト結果に基づく範囲の個別最適学習を授業や家庭学習で2~3週間行い、教員はスタディログから生徒ひとりひとりの状況にあわせた声がけや適切なサポートを実施。最後にプレテストと同じ範囲でまったく違う問題のポストテストを12月、1月の2回、単元を変えて行った。結果、12月では60%、1月は95%の生徒のテストの点数がプレテストよりアップ。さらに苦手箇所の課題をすべて学習した生徒の方が、プレテストからの点数向上率が高いとの結果が得られたという。

 モデル校2校目は、40人が在籍する三宅島の三宅中学校。知識技能の指導に授業時間が割かれ、主体的・対話的な取組みの機会が少ないという課題に対し、「すらら」で単元内の基礎知識部分の学習を事前の家庭学習とし、授業内では応用演習や探究学習の時間を創出する、反転学習を国語科で実施。反転学習の実施前後で思考判断表現の正答率を比較したところ、反転学習実施後は実施前より正答率が13%上昇したという。

 実施後のアンケートでは、教員から「主体的、対話的で深い学びを取り入れた授業では、より楽しんで授業を受けてくれる生徒が増えた」との報告や、「自己肯定感を高めることができた」「自主学習が難しい生徒でも、自主的に課題設定しようとするようになった」等、生徒の変容に対する感想があがった。

 また、生徒アンケートでは、反転授業実施後は文章読解や考えを要約して伝えることに対して自信がまったくない、不得意と答えた生徒数がいずれも減少。国語科目に対する苦手意識が軽減された他、富士中学校でもこれまで家庭学習をしてこなかった生徒が、積極的に取り組むようになるようす等が確認できている。

 すららネットは、2年間の実証事業で得た過疎地域での「すらら」を活用した学習方法の成果事例を生かし、今後もさまざまな状況による教育格差解消を目指した取組み、学習塾や保護者も巻き込んだ地域ぐるみでの子供たちの学習支援体制の構築等を実現していきたいとしている。

《畑山望》

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