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モバイル端末の導入率は86%…高校805校のICT活用実態

 旺文社は高等学校における、ICT機器・サービスの導入状況および活用の実態についてアンケート調査を実施。2022年度調査では、2021年度調査から特にBYOD導入の拡大について動きが見られる結果となった。

事例 その他
ICT機器の導入・使用状況
  • ICT機器の導入・使用状況
  • 校内ネットワークの導入・使用状況
  • 校内での生徒の私物モバイル端末使用について
  • 生徒用モバイルICT端末の活用における課題
 旺文社は高等学校における、ICT機器・サービスの導入状況および活用の実態についてアンケート調査を実施。2022年度調査では、2021年度調査から特にBYOD導入の拡大について動きが見られる結果となった。

 同調査は対象校5,062校へアンケートを送付し、回答のあった805校の回答結果を分析したもの。2021年12月上旬から2022年1月上旬に調査を実施し、2月25日に結果を発表した。学校現場での教育ICTの実態を調査することで導入拡大、継続運用に向けた課題や、今後必要とされるサービス内容を把握することが目的。

 BYODとは、生徒私物のPC・スマートフォン等端末を教育目的で利用すること。実施校は増加傾向にあり、全体の4割弱という結果となった。BYODは費用負担や緊急連絡手段等、従来あった課題の解決策となる一方、学校現場の利用にあたり、充電・破損等への対応、私用目的と切り分けるモラルの問題等、不安視する声も上がっている。

 生徒用のモバイルICT端末を導入する高等学校の割合は全国の85.8%にのぼり、中でも「タブレット型」端末の割合は69.8%となった。この数は昨年度調査から17.4ポイント増加しており、タブレット型端末は普及端末の大勢を占めていることがわかる。

 「タブレット型」のほかに使用される端末として、「デスクトップ型」「ノート型」があげられ、それぞれ導入、使用状況は43.6%、38.8%という結果となった。特に「ノート型」の割合は2021年度調査結果から増加しており、「タブレット型」と「ノート型」を合わせた「モバイルICT端末」の導入率は85.8%(重複除く)にのぼった。

 モバイル端末利用に向けて環境整備も進み、通常授業に無線ネットワークを利用できる高等学校の割合は76.6%に達した。

 また、文部科学省の掲げるGIGAスクール構想「生徒向け1人1台端末」に向けた環境構築が進んでいることで、従来とは違った学びや指導プロセスが生まれた。これにより、端末管理や情報モラル教育が教員の負担につながるといった課題も顕在化する一方である。教育ICTを活用することで「校務負担の軽減」につながると期待される一方で、「活用スキルの引き上げ」が最大の課題とされる現状が判明。

 同調査では、GIGAスクール構想に向けて、高等学校におけるモバイルICT端末の導入、利用が広まっていることがわかった。運用にあわせて、端末普及やネットワーク等、環境整備が進む中で生徒たちの意識の向け方や教員のICT活用技術の育成等、学校側の苦悩や課題意識も浮かび上がった。

 ICT活用に対して、期待や理想と、実際の運用にあたって生じる障壁やトラブルとのギャップを解消するため、多くの時間や取組みが必要とされていることが明らかになった。
《高垣愛》

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