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生徒の机上をデジタル化する、カシオの学習用Webアプリ「ClassPad.net」

 関数電卓や電子辞書の市場で高いシェアを占めるカシオ計算機が、長年蓄積した教育ノウハウをフルに生かし、2021年9月に学習用Webアプリ「ClassPad.net」をリニューアルした。

ICT機器 授業
カシオ計算機の総合学習プラットフォーム「ClassPad.net」
  • カシオ計算機の総合学習プラットフォーム「ClassPad.net」
  • オンライン辞書機能
  • デジタルノート機能の辞書画面
  • デジタルノート機能
  • 授業支援機能
  • 数学ツール
  • ClassPad.netは「生徒の机上をデジタル化」がコンセプトと語る須田氏
  • ClassPad.netの魅力を語る漆間氏

 関数電卓や電子辞書の市場で高いシェアを占めるカシオ計算機が、長年蓄積した教育ノウハウをフルに生かし、2021年9月に学習用Webアプリ「ClassPad.net(クラスパッドドットネット)」のVer1.0をリリースした。「ClassPad.net」は、どの授業でも使える総合学習プラットフォームで、Web上でログインすればパソコンやタブレット、スマホ(一部機能)からいつでも使える学習ツールだ。

 「生徒の机上をデジタル化」をコンセプトに、カシオが誇る高品質な数学ツールや高校6教科に対応する22コンテンツを搭載したオンライン辞書機能をはじめ、デジタルノートや授業支援の機能も携えたアプリとなっている。GIGAスクール構想が始まり1人1台端末が導入され始めた教育現場に、ClassPad.netはどんな新しい学びをもたらすのだろうか。新しくリリースしたClassPad.netの開発経緯や特徴等について、同社教育BU 関数戦略部の須田陽子氏と漆間弘好氏に聞いた。

カシオ計算機の新しい総合学習プラットフォーム「ClassPad.net」
カシオ計算機の新しい総合学習プラットフォーム「ClassPad.net」

関数電卓やWebアプリ等、製品を通じて学習サポート

--カシオ計算機の教育への取組みについて教えてください。

須田氏:カシオ計算機は製品を通じて生徒の学力向上をサポートしています。国内では電子辞書のイメージが強いですが、海外では関数電卓がメジャーな製品です。海外の数学の授業は、問題をどう解くかという問題解決能力や、考える力を養うところに重点を置いており、複雑な計算は電卓に任せているので、中高生が授業や試験で関数電卓を活用しています。弊社では世界100か国以上で関数電卓を販売していますが、国や地域によってカリキュラムや教え方が違うため、各国に弊社の開発者が出向いて現場の先生の声を聞き、各国のカリキュラムに沿ったさまざまな種類の関数電卓を開発しています。

 また、関数電卓は操作方法や活用法を知らなければ十分に活用できない面もありますので、世界各国で先生向けのトレーニングや教材提供をする活動も長年やっており、それを「GAKUHAN (学販) 活動」と呼んでいます。

--その教育事業の一環で、今回のClassPad.netも開発されたのですね。

須田氏:はい、ClassPad.netはもともとClassPadという関数電卓から始まったサービスです。ClassPadは海外を中心に展開していましたが、欧米諸国の教育現場のICT化を受けて2018年にデジタル化し、数学ツールとしてClassPad.netをリリースしました。2020年6月からは数学ツールClassPad.netの国内展開も開始し、今年の4月にはどの授業でも使える総合学習プラットフォームに機能拡充したベータ版をリリース。そして、9月1日にver.1.0にアップデートしてリリースしました。

 リニューアルの背景としては、国内でもGIGAスクール構想などで教育現場のICT化が急速に進んだことを受けて、弊社の長年の教育ツールの開発ノウハウを活かして少しでも先生方の負担を減らしたいという思いから、従来の数学ツールにデジタルノート機能とオンライン辞書機能、授業支援機能を追加しました。今では300校以上にベータ版を利用していただいています。

--改めてClassPad.netの特徴をお教えください。

須田氏:製品のコンセプトは「生徒の机上をデジタル化」です。生徒が授業を受けるときに必要なノートや辞書、数学のツールなどが1つになった学習用Webアプリになっています。おもに「デジタルノート機能」「オンライン辞書機能(EX-wordモード)」「数学ツール」「授業支援機能」の4機能で構成されています。

 「デジタルノート機能」は文字入力ができる「テキストふせん」、画像や動画を貼付けできる「ファイルふせん」などのさまざまな機能が搭載されており、それらを使って自由にオリジナルのノートをつくることができる機能です。ワークスペースに付箋を貼るような感覚で自由に文字を記入することができます。さらに、ノートをまとめていて知らない単語が出てきたときも、別のアプリを開かずにデジタルノート上でオンライン辞書の検索ができます。

デジタルノート上で電子辞書の検索ができる(辞書画面)
デジタルノート上で電子辞書の検索ができる(辞書画面)

デジタルノート活用イメージ
デジタルノート活用イメージ

 「オンライン辞書機能(EX-wordモード)」は、高校6教科対応の22コンテンツが搭載されているオンライン版の電子辞書です。単体のクラウド辞書として使える「EX-wordモード」はスマホにも対応してますので、わからない単語が出てきたときに、どこでも簡単に辞書で検索できます。また、デジタルノートに辞書の検索結果を引用もでき、単語を調べたいときに、手軽に信頼性の高いコンテンツにアクセスできます。

高校6教科対応の22コンテンツが搭載
高校6教科対応の22コンテンツが搭載

 「数学ツール」には多彩な数学機能が搭載されており、簡単な操作で計算や図形・グラフの描画が可能です。また、作成した図形やグラフを動かすことで数学の公式や定理を視覚的に理解することができ、数学の理解促進、知識定着に役立ちます。

簡単な操作で計算や図形・グラフの描画が可能
簡単な操作で計算や図形・グラフの描画が可能

 「授業支援機能」は、先生と生徒の間でClassPad.net上で作った回答を提出したり、さらにそれにフィードバックを書いて返却したりできるようになっています。これを使うことにより、先生が課題を配布する手間を省き、オンライン授業にも対応できます。

ClassPad.net上でできる授業支援機能
ClassPad.net上でできる授業支援機能

初期障壁が少なく、必要なツールが1つに集まっている

--ClassPad.netの強みとは何でしょうか。

須田氏:電子辞書と関数電卓の長年のノウハウが集約されていることと、授業に必要なツールが1つになっていることです。学校で情報端末の利用が進んでいる中で、いろいろな学習用のアプリが出ていますが、ノートだったらノートのアプリ、辞書だったら辞書のアプリと用途ごとのサービスが多く、その場合授業ごとにアプリやツールの使い分けや切り替えが必要になります。ClassPad.netなら必要な機能が1つにまとまっているので、アプリを切り替える手間を省くことができ、「シームレスな学習」を実現できるのが最大の特徴です。

漆間氏:私は以前、私立中学・高校で数学と理科の教員をやっており、最後は学校長として2017年に定年退職を迎えました。

 教員の立場からみると、初期障壁が少なく簡単に使うことができる点も魅力の1つです。ICT教育の導入に大切なのはICTを先生が活用してから生徒も使うことなのですが、実際は先生自身が難しいからやらないとなってしまっていることが多いように感じます。ClassPad.netなら使い方がすぐにわかると思いますので、ぜひ使っていただきたいです。

 もう1つの良さは、さまざまな場面で使用できることです。画面も綺麗ですし、教科を問わず対応しています。学校経営者目線からみても、授業だけでなくホームルーム等でも使えるテクノロジーだと思います。それが1つのアプリで完結し、インストール不要でネットにつなげばすぐ使える。学習した履歴はクラウドに保存されますので、いつでも学習履歴を振り返ることができます。

協働的な学びを助け、誰でも簡単に楽しく使える

漆間氏:昨年9月にClassPad.netのオンラインセミナーの講師を務めたのですが、その際、いちばんの気がかりだったのが「なぜ今ICT教育が必要なのか」というICT教育の必要性を先生方が理解されているのかということでした。「国がICTと言っているからやらなければならない」「21世紀スキルも身に付けさせなければならない」となっていないか。教育現場も、試行錯誤しているのが現状だと思います。

 授業では、先生が教材・教科書を持ってきてそれを説明して黒板に書き、生徒がノートに写す。ある調査では、日本の授業における生徒の発言時間は、50分授業のうち2~3分しかないという結果も出ています。授業のほとんどは先生が一方的に話していて、半分の時間は板書をしている。そして、先生が書き終わった黒板を生徒が黙々と後追いしてノートに写している。果たして、これで充実した教育が行えるのでしょうか。

 世界は今、社会状況やテクノロジーが急激に変化し、それに伴いさまざまな国際問題も出ています。こうした問題への対応を協力しながらやっていかなければならない中で、皆で頭を寄せ合いつつ検討できるようなツール、正解がない問題にも立ち向かっていけるような学習ができるツールがないかと現役時代から考えていました。そこで出会ったのがClassPad.netだったのです。実際に使ってみるとすぐに使い方を理解でき、今では朝の日課として関数電卓やClassPad.netをいじっているほどです。

--先生や教育関係者を対象としたセミナーではどのようなことを行っていますか。

須田氏:セミナーは、ClassPad.netを知らない先生向けのものや、一歩進んだ活用方法を紹介するもの、実際に操作していただくもの、有識者や各エリアの先生方にICTの活用について講演いただくもの等、さまざまな内容で展開しています。先生方はお忙しい中参加してくださるので、時間を無駄にしないように、今どのような情報が必要なのかということを重視して行っています。セミナー後のアンケートから先生方は今どういうことを知りたいのか、どんなことに困っているのかをヒアリングしながら、セミナー内容を決めるようにしています。

セミナーでは、先生方が今必要としている情報を提供している
セミナーでは、先生方が今必要としている情報を提供している

--今後どのような展開をお考えですか。

須田氏:今は高校生向けにサービスを展開していますが、今後は小学生から大学生まで長く活用いただけるツールにするために、機能や搭載する辞書のコンテンツを拡充していきたいと考えています。

 我々には、快適に使える文房具を選んで使うような感覚で、ClassPad.netも自然に選んで使ってもらえるアプリにしたいという思いがあります。そのためにも現場の先生方の声を聞きながら、今後もさらに発展させていきたいと思っています。教育現場で役立つ製品づくりをしていくために、さらに進化させていきたいです。

2022年3月までデジタルノート機能を無償提供

--最後に、現場の先生方へメッセージをお願いします。

漆間氏:前任校でタブレットと電子黒板を導入した際に、それに接続するアプリがたくさんありました。先生は研修をした最初こそ前向きに取り組んでいるのですが、だんだんわからなくなってくる。どこを押せば良いのか、どういう手順でやるのかがわからないと、使うまでのハードルが高くなってしまいます。その点、ClassPad.netは使い方が簡単に理解できるので、ぜひ躊躇せずチャレンジして、使いこなしていただきたいと思います。

ClassPad.netは簡単に理解できるので、チャレンジして使いこなしてほしいです
ClassPad.netは簡単に理解できるので、チャレンジして使いこなしてほしいです

須田氏:すでに1人1台端末を導入している学校の先生方も、これから導入が決まっている学校の先生方も、どのように使おうかと迷われている先生が多いのではないかと思います。様々な学習用ツールがありますが、まずは触って試していただきたいです。現在、ClassPad.netのデジタルノート機能を無料で学校教育機関の方々に提供しています。先生お1人様から申込みでき、2022年3月末までご利用可能です。無料で使えますので、この機会にぜひ試していただきたいと思います。

ClassPad.netがもたらす新しい学びと感動

 カシオが提供する総合学習プラットフォームClassPad.net。数学ツールはクリックやドラッグ&ドロップなど、おもにマウス操作で視覚的・感覚的に綺麗なグラフ等を描画でき、「触るだけで楽しい」を味わえる。ノートに付箋を貼る感覚で使えるデジタルノート機能も、数学ツールで作ったグラフをはじめ、テキストや画像、動画等さまざまなものを貼り付け、自由にノートを作ることができる。アルバムのように飾ったり、シンプルに並べたりすることで、デザイン性に富み、工夫のしがいがあるノートが完成する。ICT教育にこうした楽しい要素と、カシオならではの質の高い教育ノウハウを取り入れたClassPad.netは、全国の学校で新鮮な感動をもたらし、生徒の学びと意欲をさらに広げてくれるだろう。

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《羽田美里》

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