カシオ計算機は2021年9月27日、高校教師を対象にした「高校におけるICT教育」調査の結果を公表。ICTを積極的に活用している教師は約3割にとどまり、端末がまだ整備されていない高校の6割強の教師が今後「ICTを活用したい」と回答している。 調査は、全国のICT化が「完了している高校」「完了していない高校」の教師各206人、計412人を対象に、高校におけるICT教育の実態調査を8月13日~8月15日、インターネットを利用して実施。カシオ計算機は、電子辞書や関数電卓、オンライン学習ツール「ClassPad.net(クラスパッド ドット ネット)」を提供し、高校教育をサポートしており、高校におけるICT教育の課題、現場の教師が抱えている悩みを「教師目線」で明らかにするために調査を行った。 「GIGAスクール構想」により、全国の小中学校では1人1台端末体制が構築された。一方で、高校においては今後、環境整備や授業でのICT活用が進んでいく見通しとなっている。1人1台環境が整備されている高校では、ICTを「積極的に活用している」と回答した教師は37.4%にとどまった。一方で、端末未整備の高校では6割強の教師が今後「ICTを活用したい」と答え、期待感がうかがえる結果となった。 ICTを活用したい理由は、「これからの時代のスタンダートとなるから」「授業を効果的、効率的に行えるから」「ビジュアルで見せることができるので、生徒の興味関心をひきやすい」「コロナ禍で学習時間を確保するため」等の意見が多く、「ICT化が進んでいる高校の事例を参考にしたい」との前向きな声が全体の76%にのぼった。 また、端末を整備済みの高校において、授業等で使用しているツール・アプリについて困っていることのトップ3は「使い方の習得に時間がかかる」「ノートと同じような操作性とは言えず、操作が難しい」「端末の機種によって使用できない場合がある」となった。一方で、端末が未整備の高校の教師が今後使用するツール・アプリにもっとも期待することは、「操作が簡単で誰でもすぐに使いこなせる」「端末の機種に依存せず使用できる」と、端末整備校が抱える課題と同じ結果となった。現場の教師がツール・アプリにもっとも求めているのは、「すぐに使える」「簡単操作」であることがわかる。 その他、端末を整備済み・未整備どちらにも聞いたICT化を進めるうえでの不安、課題のトップは「教師間の意識にギャップがある」50.0%。ついで「端末が支給されただけでその後のサポートがない」「ICTに関する研修が不十分である」と続いた。ICTの活用で「実現している」「実現したい」ことのトップは共に、「教材のビジュアル化」で60.9%。一方、ICT整備校での端末活用方法については、75.4%が「理解しやすいように、教材をビジュアル化して提示」していると回答しており、理解や知識の定着を促進したいという教師の思いが読み取れる。 さらに、「授業や課題の準備業務を効率化させたい」「課題をオンラインで配布、提出できるようにしたい」が共に約46%だったが、「探究型の学習やグループ学習を推進したい」は37.1%となった。ICT整備校において「探究型・グループ学習の支援ツール」として活用している教師は約40%と、全体として2022年から新たに導入される「探究学習」への活用はこれからといえそうだ。